「理不尽な日本の警察や司法と戦った英雄」と見られている

釈然としないのが、アルコニス元受刑者側が声高に唱える、「急性高山病のため突然失神して意識を失った」との主張だ。

これにより、アルコニス元受刑者は「病気を認めない理不尽な日本の警察や司法と戦った英雄」のように見られている。

星条旗
写真=iStock.com/SaintCanada
「日本の警察や司法と戦った英雄」と見られている(※写真はイメージです)

アルコニス元受刑者の釈放を求めたリー上院議員は、1月13日にX(旧ツイッター)で、事故の原因は「過失ではなく病気によるもの」と主張し、日本に謝罪を求めた。

だが、事故で亡くなった男性の父親は、「そんなこと言ったら怒るわね。親より先に子どもが死んだのだから、悲しいに決まってるじゃん。(事故が)なかったら、われわれも普通の生活があったんだから」とフジテレビの取材に対して語っている。

「標高約300mで高山病を発症」は本当か

アルコニス元受刑者は、本当に高山病であったのだろうか。

富士山には毎年20万人前後が登山し、その3割が高山病を発症する。主な症状は吐き気や頭痛、疲労などで、失神する場合もある。高山病は一般に標高2500mを超える辺りから発症する。

ところが、事故が起こったそば処「古庵」の所在する富士宮市山宮の標高はおよそ300mである。

ちなみに、2022年8月に富士山を下山中だった横須賀基地所属の別の米軍人男女のうち、男性が高山病で頭痛を発症して警察に救助を求めたことがある。

現場は、標高3090mの富士山御殿場ルートの七合五勺にある山小屋「砂走館」付近。そして、救助後に標高2400mの五合目まで下山すると男性の体調は回復し、2人はそのまま帰宅したという。