「上級国民」事件を彷彿とさせる

2019年4月に東京・池袋の交差点において、旧通産省工業技術院の元院長・飯塚幸三受刑者(当時87)が運転する車が暴走し、松永真菜さん(享年31)と長女の莉子ちゃん(享年3)の2人の命が奪われた。

にもかかわらず、飯塚受刑者がすぐ逮捕されなかったのは「上級国民」だからだ、と炎上した事件だ。

結局、東京地裁は2021年9月に、禁錮5年の判決を下した。さらに2023年10月には、同地裁が飯塚受刑者に約1億4000万円の賠償を命じている。飯塚受刑者の態度もこの判決に影響したと考えられる。

アルコニス元受刑者の事件はこの飯塚幸三受刑者の事件を彷彿させる、きわめて悪質なものだ。

禁錮3年が確定

検察側は、「運転をやめることができたにもかかわらず居眠り運転を続け、2人の尊い命を奪った責任は重い」として、禁錮4年6カ月を求刑した。

この時点で無罪判決を期待するアルコニス被告は、遺族へ160万ドル(約2億4000万円)の賠償金を支払ったとされる。

しかし、静岡地裁は2021年10月、被告の主張を退け、過失運転致死傷の罪で禁錮3年の実刑判決を言い渡した。被告は控訴したが、2022年7月に東京高裁がこれを棄却して刑が確定し、服役した。

だが、アルコニス元受刑者は刑を半分終えただけで、米国へ移送され、2024年1月に仮釈放された。

なぜ、このような結末を迎えたのか。

ジャッジガヴェル
写真=iStock.com/spawns
日本で刑が確定し、服役した(※写真はイメージです)