上司の話を聞いているうちに仕手株に手を出してしまう

ところが保険会社に転職して正社員になりボーナスをもらい始めると、ガンガンお金が貯まっていきました。正社員になると上司と一緒にランチをする機会も増えたのですが、当時個別株の中でも仕手株にハマっていた上司が、毎日その話をしてきます。ちなみに仕手株とは特定の投資家によって株価が意図的に操作されている銘柄です。仕手筋(大量の株式を売買し、株価を操作する投資家や投資家集団)によって売買されている恐ろしい銘柄といえます。

私は投資信託大好きっ子だったので、当初は個別株についてはやったことがなかったし、やる勇気もありませんでした。しかし恐ろしいもので毎日1年以上、その上司の話を聞いていたら慣れて来ちゃうんですね。上司が薦めていた仕手株の値動きも自然と追いかけてしまい、追っていると、上司が買った値段よりも安くなってきていることがわかりました。

正社員として1年経てばボーナスは2回分貯まります。そのタイミングで誰にも言わず黙って、その仕手株を買ってしまいました。最初は値上がりしたので、しめしめと思って買い足しました。そうしたら、今度は下がってきちゃったんです。そこでも下がったからには上がるはず、これはチャンスだと思って買い足しておこうと思いました。

株価下落のイメージ
写真=iStock.com/Naypong
※写真はイメージです

高級マンションの頭金にするつもりが500万円の損失

この仕手株で大きく増やして高級マンションの頭金にでもしようと夢見ました。「これでやっと資産でも周りの同級生たちに追いつける」と焦ったんでしょうね。そしたらあれよあれよという間に値段が下がっていって、その会社は吸収合併されて企業名が変わって、持っていた株が二束三文になってしまいました。私はこれで500万円くらい損をしました。

不幸中の幸いだったのは、借金をしていなかったこと。だから誰にも迷惑をかけなかったのです。また、その後も仕事は順調で稼ぎ続けていたので、なんとか働いて損金をすぐに挽回できたことです。仕事をしていると一定期間頑張れば挽回がきくので、そういった意味でもまだ若いうちに、失敗を経験して良かったなと思いました。

この失敗から得た教訓は、

1 投資は余裕資金でやるべし
2 個別株は現物株(借入することなく自己資金且つ時価で取引する株)のみでやるべし
3 知らない会社の株は買わない
4 過去の値動きについて説明できる株を買うべし

です。

その後、保険会社でのキャリアを積んでいくうちに、さらに分散して投資することの重要さ、長期投資の大切さを学びました。