全国展開するビジネスホテルチェーン「ドーミーイン」には、熱狂的なファンがいる。彼らの多くは、サウナ施設の快適さを挙げる。どこがすごいのか。経済ジャーナリストの高井尚之さんがリポートする――。(後編/全2回)

サウナ愛好家も認めるドーミーインのサウナ

前編から続く)

ビジネスホテルの基本性能は、宿泊予算を踏まえた「低価格での宿泊・滞在」だが、出張利用者はそれ以外の価値を求めてホテルを選ぶ。ホテル側も付加価値のサービスを行う。

たとえば、冷蔵庫にミネラルウォーターを入れて無料提供する施設は多い。また、ギフトや割引クーポンを渡す施設もある。それらも好まれるが、ビジネスパーソン(消費者)に話を聞くと、選ぶ基準で目立つのは「朝食の内容」や「大浴場」、それに付随する「サウナ」だ。

前編で紹介した50代男性(これまでに延べ50泊利用)など、サウナーと呼ばれるサウナ愛好家には、出張時の宿泊先としてビジネスホテル「ドーミーイン」(運営:共立メンテナンス)を選ぶ人が多い。

今回、「ドーミーイン池袋」(東京都豊島区、2021年3月18日オープン)を取材し、同ホテルのサウナへのこだわりについて話を聞いた。

快適なサウナ施設づくりのためにやっていること

「サウナ激戦区と呼ばれる池袋にあるので、近隣のサウナ施設も意識しています。大浴場にはサウナと水風呂の他、内湯、露天風呂を備えており、お湯は池袋で唯一の“天然温泉の黒湯”です。サウナ内にアロマパンを設置しているので、森林浴の香りも楽しめます。ビジネスホテルの世界でもサウナを導入する競合が増え、1995年からサウナを設置してきた先行施設として、さらに差別化を図っています」(ドーミーイン事業本部 首都圏事業部部長の平山恵一さん)

「ドーミーイン池袋」のサウナ室
撮影=プレジデントオンライン編集部
「ドーミーイン池袋」のサウナ室。サウナ室の高さは施設によってまちまちだが、開放的になるよう意識しているという。

快適なサウナ施設をつくるための設計はどうしているのか。

「池袋に限りませんが、サウナ内の照明LED化、熱源、天井の高さ、高温サウナ、水風呂などは設計業者や設備管理業者と打ち合わせしながら決めています。現在、『ドーミーイン』ブランドで国内に95棟を展開しており、性能面や運営面のノウハウは社内に蓄積されています」(同)