朝5時からサウナを楽しめる
ところで、ドーミーインの大浴場やサウナは長時間営業(多くの施設は営業時間15時~翌日10時。サウナのみ深夜1時~5時は停止)も持ち味だ。清掃などはどうしているのか。「基本的に4~5人のスタッフで担当しますが、大浴場の営業終了後は、14時までの短時間で作業しなければなりません。日々の清掃やメンテナンスでは作業効率を上げるために細かな工夫をしています。たとえば備え付けのシャンプーやコンディショナー、ボディーソープなどはそのつど補給すると時間がかかるので、あらかじめ補給したものと容器ごと差し替えています。また、お客さまが床で滑って転倒されないよう、毎日浴場内の床をポリッシャーで洗浄し防滑を強化しています」(平山さん)
お湯の入れ替え清掃は各施設や状況によって異なるが、毎日もあれば週1回のところもある。浴槽やパイプ、湯を貯めるタンクの清掃・入れ替えには時間がかかる。日々の清掃では基準に沿った消毒などの対応も行う。
「ご利用時にスタッフが浴場内に入る場合もありますが、安全面の確認もあり、ご理解いただきたいと思います」(同)
ホテルの利用者は幅広いが、中心客層は30~50代のビジネスパーソン。男女比は6割強:3割弱だ。施設の立地によっては、平日はビジネス客が多いが、休日はファミリー客やカップル客が多くなるという。
社内の声で改善を進める
「社内にはサウナーの従業員も多く、一般のお客さまを含めた『ドーミーイン サウナ部』も活動中。当社の公式サイトやSNSでも関連情報を発信しています」(平山さん)
コロナ禍の2020年秋ごろから始めたコミュニケーションの一環で、公式サイトでも紹介する。ネットで展開する「大人の部活」プロジェクトのひとつ、だという。
実際に見ると、サウナ好きの思いが伝わってくる。ドーミーイン以外に、別ブランドを展開する共立リゾートの「箱根小涌谷温泉 水の音」などのブログもある。筆者もプライベートで同施設を利用したことがあり、当時を思い出しながら読んだ。他社のサウナ施設や一般のサウナ情報も自由に発信でき、サービスの見直しや改善の参考にもするという。
「昨年秋には『第1回FAN×FUN総選挙 ~行ってみたい! 行ってよかった! お風呂編~』を実施しました。『ドーミーイン』と『共立リゾート』全133施設(当時)を対象に、特設サイト上からお客さまの好きな施設にご投票いただいたものです」(コーポレートコミュニケーション部の波多野さん)
ドーミーイン1位は「御宿 野乃京都七条」(京都府京都市)、共立リゾート1位は「ラビスタ東京ベイ」(東京都江東区)だった。
マーケティングの視点では、これまで紹介した各施設内の設備などは機能的訴求で、こちらの活動は情緒的訴求といえるだろう。