健康食品の情報は不足している

国のワーキンググループでは、健康食品の健康被害には大きく3つの要因が関わっていると分析しています。

第1が情報不足の問題です。

不確かな情報が氾濫はんらんする一方、確実な情報源が確立されていません。

第2は消費者の問題です。

健康食品はどんな量でも健康に良いと安易に考えている人が多過ぎます。もちろん、健康食品を作っているメーカーが、広告でイメージ付けしているのも問題とは思いますが、それにしても多量、高頻度、長期間に摂取する人が多いのです。

また、健康食品を摂取する人の体質も均一ではありません。

処方薬のように、医師や薬剤師が用法・用量をその人に合わせて、正しく調整してくれるのであれば問題はないでしょう。

知識や経験が不足しているメーカーも少なくない

しかし、健康食品の場合、それぞれの体質に合わせて調整してくれる人はいません。病気の人や高齢者、乳幼児、妊婦、アレルギー体質など、摂取している人の体質を考慮されていないところは問題です。

また、健康食品が好きな人は、複数の健康食品やサプリメントを同時に摂取していることが少なくありません。

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これも、飲み合わせが悪ければ、思わぬ副作用が起きることになります。

第3の問題は、メーカーの問題です。

健康食品の業界は異業種からの参入も多いため、成分についての知識や経験が少ないのに、健康食品を製造している場合も少なくありません。

さらに、製造環境も劣悪な場合があります。

そうした製造プロセスでつくられた健康食品を摂取して、健康被害が起きるのは当然と言えます。

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