14年続く長寿番組を持つ「お昼の顔」ナンチャン

また、ナンチャンこと南原清隆も、もう20年近く古典芸能の狂言の演者として活動しつつ、内村同様、「ターゲットの広い司会者」として活躍している。主婦や高齢者が視聴する平日昼の時間帯で「ヒルナンデス!」(日本テレビ系)という看板帯番組を抱えており、これは2011年から続いている。なんと今年で14年目に突入する長寿番組だ。

コロナ禍では「ヒルナンデス!」ゲスト全員がリモート出演となり、スタジオにナンチャンがぽつんと1人、という驚くべき回も見られた。それがかえって南原の飄々ひょうひょうとした、あたたかみのあるキャラクターを再確認させる機会となり、好評を博していたのが印象に残っている。

「笑っていいとも!」終了以降、ポスト・タモリは誰なのか、ということが時折話題に上るが、垣間見える教養と適度な脱力感という点では、南原が10年、20年後に残っている可能性も低くはないとわたしは思う。

ダウンタウンの「イジる笑い」はハラスメントを内包する

1991年から97年まで続いた「ダウンタウンのごっつええ感じ」(フジテレビ系)などで、ダウンタウンは日本中の若者、子どもたちに「イジり」という概念を植えつけた。「イジってもらっているんだから、おいしい」というような、本来は芸人の楽屋だけで通用していればよい価値観を、テレビ放送という「表舞台」に提供し続けてきたのがダウンタウンだといえる。天下を取るまではそれでよかったかもしれないが、天下を取ったあとのそれは、弱い者いじめとなる。

今回の松本人志のスキャンダルも、性的行為の強要疑惑だけが非難されているのではない。後輩芸人に女性を見繕わせ、提供させていたこと、また、おそらくそういう「女衒ぜげん役」を果たすことで松本の「役に立つ」後輩芸人がテレビ出演という見返りを得ていたのではないか、という疑いが、あまりにも醜悪なため、話題になっているのである。

2025日本万国博覧会誘致委員会の発足式典で、あいさつするお笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(左)と浜田雅功=2017年3月27日、東京都千代田区
写真=時事通信フォト
2025日本万国博覧会誘致委員会の発足式典で、あいさつするお笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(左)と浜田雅功=2017年3月27日、東京都千代田区

後輩芸人や若い女性へのイジメ(現在の視点で見ると、「ごっつええ感じ」での篠原涼子やYOUに対する行為は完全に「ハラスメント」である)を、テレビの中で演出としてやっているだけではなく、現実世界でも地続きに行っていた、しかも2023年にもなって行っていたのでは……という点に、多くの女性が「ドン引き」しているのだ。

もはやダウンタウンの「イジる笑い」は賞味期限が切れているのではないか。いじめっ子が相手を泣かせて「なんだよ。『愛あるイジリ』だろ〜」と言い訳をしても、それはもう、日本の小学校では通用しない。マトモな教師なら、そんなことは通用させてはいけない、と知っている。そういう世の中なのである。