90年近くも冬を待ち焦がれる人生

やはり、スキーは格別です。病院のリハビリ室や、室内のジムでトレーニングすることに比べたら、100倍も、1000倍も楽しい。

三浦雄一郎『90歳、それでもぼくは挑戦する。』(三笠書房)
三浦雄一郎『90歳、それでもぼくは挑戦する。』(三笠書房)

いまはなんだかんだと、週に4、5日はリハビリに費やしていますが、できることなら、毎日スキーに行きたいくらいです。

次の冬が来るのが、いまから楽しみでなりません。もっとも、ぼくは90年近くも、そうして冬を待ち焦がれる人生を送ってきたのですけどね。

今度は息子のサポートなしで、本当に自分の力だけで滑り降りたいと思っています。ロープでサポートされたスキーは、やっぱり、自分の思う通りにはいかないもどかしさがありますから。

でも、いまはうまくいかなくてあたりまえ。病気と同じく、そのうちよくなるだろうという楽観的な気持ちで、のんびりやろうかなと思っています。

ぼくの人生にスキーがあって、本当によかった。そう心から思えます。

病気の一つや二つ、むしろあったほうがいい

まだ体は不自由ですが、軽々としたパウダースノーを巻き上げて滑ったり、大きな崖からジャンプしたりしている夢をよく見ます。

治るかどうかも定かでない神経の病気にかかったことで、かえってスキーの楽しさ、すばらしさをあらためて理解することになりました。

これぞまさしく「一病息災」というもの。

五体満足でいると、案外、健康のありがたさに気づかないものです。かえって病気の一つや二つくらいあったほうが、何か大事なことに気づいたり、本質的なことがわかったりして、人生が充実するのかもしれませんね。

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