日本人の67%は睡眠時間が7時間未満
日本人の睡眠時間は、世界的に見ても短い状態が続いており、深刻です。
経済協力開発機構(OECD)の調査「Gender Data Portal 2021」によると、日本の15歳から64歳までの男女の平均睡眠時間は7時間22分とされており、先進国を中心にした世界33カ国のうち、日本が最も睡眠時間の短い国であることが判明しました。一方、睡眠時間が一番長い米国は8時間51分で、日本人よりも1時間半も長く睡眠をとっていることが明らかになりました。[経済協力開発機構(OECD)「Gender Data Portal 2021」]厚生労働省の調査でも、睡眠時間が7時間に満たない人の割合は67.7%に上ることが示されています。(厚生労働省「令和3年度 健康実態調査結果の報告」2022年1月)
そもそも、なぜ睡眠を取ることが重要視されるのでしょうか。
慢性的な睡眠不足が続くと、疲労感や日中の眠気に加え、抑うつ、注意力や判断力の低下、作業効率の低下ばかりでなく、体内のホルモン分泌や自律神経機能にも影響するといわれています。また、睡眠不足が続くと食欲を抑えるホルモン(レプチン)が減少し、反対に食欲を高めるホルモン(グレリン)が強まり食欲が増大。加えて日中の活動レベルも低下するため、肥満のリスクが高くなります。
慢性的な睡眠不足で脳は“日本酒を1~2合飲んだ”状態に
不眠症や睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害がある場合は、交感神経の緊張による血管の収縮、血糖を上昇させるホルモンの過剰分泌、代謝異常などが起こり、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の発症につながり、心筋梗塞、脳血管疾患などの非常に重い疾患を引き起こす危険性が高まります。
そのため、日常的に質・量ともに十分な睡眠を確保することで心身の健康を保持し、生活の質を高めていくことが重要視されています。(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023(案)」2023年12月21日)
睡眠不足だと、うまく頭が回らないと感じたことがある方も多いのではないでしょうか。これは決して気のせいではありません。睡眠時間が5時間を切る日が続くと、徹夜明けや日本酒を1~2合飲んだのと同じくらい脳の機能が低下するといわれています。それだけでなく睡眠不足が健康を害することを示す研究は多数に上ります。