契約書を提示されたら、必ず見るべき項目

⑦断定的な説明が多い

物価変動をあらゆるデータから予測する経済専門家もいますが、住宅の営業担当者が「この物件は将来、高値で売れます」という言葉にそこまでのデータ的な根拠はないと思います。

不動産には将来的な不確定要素が多々あるものなので、少なくとも断定的にいえるものではありません。

⑧トータルでの見解を示さない

全館空調を例にしてお話しします。家の中の温度差を最小限にする高性能設備です。これを提案される際、初期費用だけを示すことがあるようです。

しかし、実際は維持管理、メンテナンスのランニングコストが発生し、故障した際のリスクもあります。これらをきちんと説明しないで提案する会社には、責任感を問いたくなります。何事にもメリットとデメリットがあり、総合的に見てこそ判断ができるものです。

⑨書面化されていない

住宅会社から提示された契約書を見て「こんなものかな」と思う人もいるかもしれません。そこに落とし穴がありますよ。

例えば金額は記載されているけれど、仕様がなにも書かれていない契約書は危険です。キッチンの仕様が書かれておらず、あとから予定外の費用が発生したというケースもあります。専門的な知識がなければ見抜くのは困難なので、わからないことは逐一質問してください。それに対して事細かく説明してくれる営業担当者は信頼できるでしょう。

根拠のない話を鵜呑みにしてはいけない

⑩感覚での営業トーク

世間話の延長のような営業トークもあるようです。「太陽光パネルの価格が下がっているので待ったほうがいいですよ」など。実際にそうだったとしても、費用対効果など違う側面からの意見もあって当然のことです。まずデータの提示なく話してくる内容は参考にとどめましょう。検証してみたら違った結果になるようなことも多々あります。

平松明展『住まい大全 ずっと快適な家の選び方、つくり方、暮らし方』(KADOKAWA)
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注意したいことは山ほどあります。例えばお客さまの要望になんでもこたえるような営業担当者は、どこまでリアリティのある家づくりを目指しているのだろうかと疑いたいです。当初の予定より希望が増えたり変わったりすれば、ほかに影響が出てきますから。

ここまでネガティブな視点で解説してきましたが、逆にみなさんの目利きの力が優れると、目的以上の家づくりができるかもしれません。

家づくりは人生づくり。運任せではなく、自ら動いてよい人生をつくっていきましょう。

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