夜間頻尿の原因②【からだのなかに水分が溜まる】

水分のとりすぎなどにより、水分がからだのなかに溜まってしまうことも夜間頻尿の原因になります。水分を摂取すると、水分は腎臓でろ過されて血液のなかに行きます。そして、その水分は血管から心臓まで戻り、心臓から送り出された血液は、動脈から末梢血管に行って、静脈をとおって、また心臓に戻ってきます。

水分の摂りすぎの可能性

ところが、全部の量が戻ってこないで、からだの筋肉や脂肪の外の組織に水分が溜まってしまうことがあります。よく夕方になると足がむくむという人もこれが原因です。このような人たちは、就寝時、寝ているとからだが横になるため、からだのなかに溜まっていた水分がもう一度心臓に戻ってきます。そして、そこで尿をつくるので、夜中に尿量が増えます。

これを予防するためには、ストッキングが効果的です。足に弾性のあるストッキングを履いて、余分な水分が溜まらないようにするのです。

また、最近開発された高出力の磁気治療器は、骨盤の筋肉を細かく振動させることによって、水分をからだのなかに戻して、夜間頻尿を改善します。

夜中に部屋を歩くイメージ
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夜間頻尿の原因③【おしっこが濃くならない】

通常、覚醒時より睡眠時のほうが尿の回数が少ないのは、眠っている間に「バソプレシン」というホルモンが分泌されているからです。尿の90パーセントは水分ですが、バソプレシンには、腎臓での水分の再吸収量を増やすことで、睡眠時に膀胱に溜まる尿の量を、覚醒時より少なくする作用があります。いい換えれば「尿を濃くする」ということです。

尿が濃くならず、膀胱がいっぱいになる

つまり、眠っている夜間は、起きている日中ほど尿がつくられなくなるため、膀胱がなかなかいっぱいにならず、トイレに起きなくてよいのです。朝の起き抜けの尿の色が濃いのも、バソプレシンによって尿の成分が濃くなっているためです。

バソプレシンの合成や作用に支障が起こったものが、「尿崩症にょうほうしょう」と呼ばれる症状です。そうなると、日中と同じくらいのペースで膀胱がいっぱいになるため、夜間に尿意で目が覚めるという症状が起こってきます。

このバソプレシンの分泌は、加齢に伴い夜間での分泌量が減っていきます。夜の間に1日のおしっこの3分の1以上がつくられている場合、たとえば、1日1.5リットルであれば、500ミリリットル以上、夜、寝ている間に出る人は、バソプレシンの分泌が減り、夜間多尿になっていると考えられます。こういう方には、バソプレシンに似たお薬、デスモプレシンという薬が有効です。

また、バソプレシンは、お子さんのおねしょにも効果的です。小児のなかにはバソプレシンが十分に分泌されていない人もいます。お子さんのおねしょにお困りの方は検討してみてください。