膀胱が硬くなる、腎機能の低下…
夜間頻尿の原因④【膀胱の柔軟性が下がる】
膀胱でつくられるガス「一酸化窒素」には、膀胱や膀胱の出口の筋肉に柔軟性を与える作用があります。高血圧や糖尿病、高脂血症、動脈硬化など、いわゆる「生活習慣病」にかかると、この一酸化窒素が十分につくられなくなります。
一酸化窒素が足りず、膀胱の柔軟性が損なわれると、膀胱が硬くなり、尿が溜まる量も減って、通常より早くいっぱいになってしまいます。そして起きている日中のみならず、眠っている夜間にも、たびたび尿意をもよおすことになります。
そのうえ、一酸化窒素の不足によって膀胱の出口も緩みにくくなるため、トイレに行っても「尿が詰まった感じがする」「スムーズに出切らない」、だから余計に「何度もトイレに行きたくなる」という悪循環が生じてしまうのです。
夜間頻尿の原因⑤【腎機能の低下】
腎臓の機能が低下して、尿を濃くすることができなくなると、尿が多くなります。腎不全、慢性腎臓病でも、夜間頻尿が起こります。
夜間頻尿の原因⑥【睡眠時無呼吸症候群】
睡眠中に呼吸が一時的に止まってしまう「睡眠時無呼吸症候群」が、最近注目されています。いびきをかく人や、昼間に強い眠気を感じる人に多いのですが、30代、40代で夜中にトイレに起きる人は睡眠時無呼吸症候群のチェックをおすすめします。
睡眠時無呼吸症候群があると、脳の交感神経の高ぶりや一酸化窒素が減って膀胱が硬くなると同時に、睡眠中に心臓から「利尿ホルモン」が出るために尿量が増える傾向があります。
男性特有の病気も夜間頻尿の原因になる
睡眠時無呼吸症候群の治療であるCPAP(持続陽圧呼吸療法)は、機械で圧力をかけた空気を鼻から気道(空気の通り道)に送り込み、気道を広げて睡眠中の無呼吸を防止する治療法です。CPAPによって、心臓の利尿ホルモンも減り、トイレに起きることなくぐっすり眠れます。また、心臓病で心臓のポンプの機能が低下すると、この心臓の利尿ホルモンが出て就寝中の尿量が増えます。
夜間頻尿の原因⑦【前立腺肥大症】
男性だと、前立腺肥大症も夜間頻尿につながります。前立腺が肥大すると、膀胱が交感神経の刺激を受けやすくなって過敏になり、急な尿意が起こりやすくなるためです。さらに深刻になると、前立腺がんが夜間頻尿を引き起こしているケースもあります。
夜間頻尿の原因⑧【加齢】
また、年をとると眠りが浅くなる傾向があるために、尿意を感じやすくなり、夜間に何度もトイレに行きたくなるというのも見逃せない要因です。
夜間頻尿の原因⑨【精神的な理由】
ストレスなど精神的な理由でも頻尿が起こります。からだの緊張がとれないと、交感神経が働いて、昼も夜もおしっこが近くなるためです。ストレスが解消されたら頻尿が治ることもありますし、なかなか治らない場合、抗不安薬や抗うつ薬が有効です。逆に、うつ病などで抗うつ薬を投与していると、尿が出にくくなることもあります。