トレンドを先取りするため「ハイブリッド化」を進行

後発メーカーは、商品開発に割ける社内リソースが先発メーカーには劣る。そのなかで、市場のトレンドの変化をとらえて矢継ぎ早に画期的な新商品を投入していく開発競争に勝つことは難しい。オタフクソースが確立している街の人気店との協業は、この後発メーカーとしての不利を克服するユニークな商品開発の仕組みである。

お多福グループ売上高推移 ※事業年度は10月1日から翌年9月30日まで
※事業年度は10月1日から翌年9月30日まで 出所=オタフクソース公式サイト

もっとも、このオタフクソースの開発の仕組みには限界もある。街の飲食店が食のトレンドをとらえて新しいソースやタレなどを開発するのを待って、そこから協業を通じて新商品を開発していくのでは、トレンドに乗り遅れないようにはできても、トレンドを先取りすることはできない。つまり、食のトレンドを先取りするような、さらにイノベーティブな製品の投入ができないのである。

そこでさらに現在のオタフクソースでは、お客様相談室に寄せられる声や、食のトレンドデータなどを解析して新商品の開発のアイデアをつかむ体制を整えている。そしてこのデータ解析と、独自に培ってきたユーザー・イノベーション型の開発の仕組みを組み合わせるハイブリッド化を試みている。

食のトレンドをとらえようと、創意工夫を重ねる街の人気店と手を組むことから生まれた開発のプロセス。後発メーカーのハンディキャップを乗り越えようとするなかから生まれたユーザー・イノベーション型の開発の仕組みを、オタフクソースはより一層進化させようとしている。

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