無条件な追従も敵対も馬鹿げている

逆に韓国は、尹錫悦大統領が対日改善に取り組んでいるのに、日本の保守派は応援しない。それどころか、松川るい参院議員のように対韓関係改善に熱心な議員は保守派から批判されて、「エッフェル塔写真」を発端にしたフランス研修問題が彼らに針小棒大に攻撃されて炎上した。

対中国でも、やみくもに敵対しては互いに損をするだけだ。バブル崩壊後の日本経済を、輸出、安い消費財などの輸入による生活防衛、観光客によるインバウンド需要などで支えてきたのは中国との関係だ。

外交は押したり引いたりしながら進めるもので、無条件の追従も敵対も馬鹿げている。日米同盟が外交の主軸であるから、基本的には欧米との共同歩調はやむを得ないが、ウクライナやパレスチナについては積極的に平和のために仲介の労もとるべきだろう。

イラク戦争で米国一辺倒だった小泉外交

しかし、日本にとってメリットがない話には、一番後ろでついて行けば十分だ。イラク戦争でブッシュ大統領(当時)の暴走を後押しした小泉首相の判断は、とりあえず日米関係を好転させてその場しのぎにはなったが、世界での評判を落としたし、愚行に協力してくれたからといって米国民に感謝されるはずもない。

同じ立場だった英国のブレア首相(当時)はそのために歴史的評価を落としたが、日本人が小泉氏を糾弾しないのはおかしいことだ。

岸田首相は、安倍氏がそうであったように、米国大統領から助言を求められ、影響力を与えられてこそ「外交の岸田」たりうる。

また、与野党の政治家もマスコミも、20年後に次の世代の人々に胸を張って説明できる発言をしてほしいと思う。

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