今年の帰省ラッシュはすっかり“コロナ前”に

新型コロナの5類感染症移行後初の年末年始の帰省ラッシュが始まる。JR東日本の12月28日から1月4日の新幹線指定席予約状況(2022年度は12月15日、2023年度は12月10日現在)を見ると、昨年度時点でコロナ前(2018年度)の94.8%まで回復していたが、今年度は同103%と完全に回復した。

東京駅に並んで停車中の新幹線
写真=iStock.com/Wirestock
※写真はイメージです

年末年始輸送では、JR東海が同期間の東海道新幹線「のぞみ」の全列車全車両を指定席化したことに注目が集まった。通常「のぞみ」は16両中3両がグリーン車、10両が指定席、3両が自由席だが、年末年始は一般車13両すべてが指定席になる(なおデッキに立席であれば自由席特急券で乗車できる)。

この結果、「こだま」「ひかり」含めた予約可能席数は前年度比17%増の379万席で、予約席数は同55%増の173万席となった。

車内に賑わいが戻ってきたことで、コロナ禍で鉄道利用が減っていたり、空いた車内に慣れてしまったりした利用者は周囲が気になっているようで、SNSでは「車内の騒音」「リクライニングの配慮」「荷物の置き方」など利用マナーが話題に上ることが増えている。

「お子さま連れ専用車両」もピークは完売

車内のマナーでしばしばやり玉にあげられるのが子連れ客だ。自分にも子どもだった頃があるのを棚に上げて、少子化を加速させるような物言いにはうんざりだが、当事者が気兼ねしているのも事実。

そこで子連れ客が少しでも利用しやすいようにと、JR東海は2010年度年末年始輸送から一部列車に「お子さま連れ専用車両(2020年度まで「ファミリー車両」)」を設定している。専用車両は授乳に使える多目的室(個室)や、おむつ替えができる多目的トイレを備えた11号車の隣の12号車に設定される。

困っている人を「隔離」して解決することの是非はともかくとして、JR東海によれば利用者から「いつもは周りに迷惑をかけないかハラハラしていたが、気軽に乗れたので助かった」など好評の声が寄せられていると話す。

専用車両は、コロナ前の2019年度冬季は26日間計111本の列車に設定し、約5800人が利用。コロナ禍真っ只中の2020年度は250人に減少したが、2022年度は18日間計84本の設定で利用者は4600人まで回復した。

今年度は昨年度より少ない1日当たり最大上下3本、15日間で38本の設定だが、25日16時時点の予約状況を見ると、下りピークの29~30日は東京駅を10時台に発車する「のぞみ329号」、12時台に発車する「のぞみ357号」とも完売だ。