「箱に入った地図を4色で塗り分けられるか」
ケンプはまず、ありとあらゆる地図を「国の数で地図を分類する」ことから始めました。それはつまり、下の図のように、1カ国の地図すべてが入った箱、2カ国の地図すべてが入った箱、……、100カ国の地図すべてが入った箱、……、10000カ国の地図すべてが入った箱、……とすべての地図を国の数で分類したのです(図表6)。
そして、それぞれの箱に入った地図が4色で塗り分けられるか考えたのです。
1カ国の地図たちは当然4色で塗り分けられますよね。1カ国しかない地図なのですから、4色のうちどれかの色で塗ってしまえば塗り分けられます。
つまり、1カ国の地図すべてが入った箱は4色で塗り分けOK。
同じように、2カ国の地図すべてが入った箱も、3カ国の地図すべてが入った箱も、4カ国の地図すべてが入った箱も4色で塗り分けOKということがわかります。
難問解決のカギとなる仮定
では、この調子で5カ国すべてが入った箱、6カ国すべてが入った箱、……も4色で塗り分けOKと証明できるでしょうか? もしかしたら塗り分けOKと証明できるかもしれません。
ただ、何カ国の地図まで塗り分けられるかわからないので、とにかく1カ国の地図すべてが入った箱から、nカ国の地図すべてが入った箱までが4色で塗り分けOKになったと仮定したのです。
そして、ケンプはこんなことを言いました。
もし、ケンプの言っている“都合の良いこと”が本当にあるのなら、nカ国までの箱が全部OKだということから、n+1カ国の箱も自動的に全部OKということになります。
そして、さらに“都合が良いこと”によってn+2カ国の箱も自動的にOK、n+3カ国の箱もOK、……というように、まるでOKサインのバケツリレーのように、無限に続くすべての箱がOKだということがいえてしまいます。
つまり、この“都合が良いこと”が実際にあることが示せれば、四色問題は解決できるのです。