※本稿は、中島博司『R80 自分の考えをパッと80字で論理的に書けるようになるメソッド』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。
東大に現役合格する生徒たちの共通点
私は茨城県の公立高校で長らく教員をし、ずっと進路指導畑を歩んできました。
「歩く偏差値表」と呼ばれるような存在で、なおかつ分析好きでもあります。
「東大に現役合格する子の共通項」――それがわかったのは、私が土浦第一高校に着任した翌年(1996年度)のことでした。
その年、私は3年生の担任を持ち、かつ進路指導部に所属していました。
この年の3年生は、33人の生徒が東大に現役合格しました(浪人生を含めると43人合格)。前年度までと比べて飛躍的に伸びた年だったのです。
なぜそういう結果が出たのかは、今後のために、進路指導部で検証することになります。
きちんと分析してみると、現役合格者の共通項が見えてきました。
それは、文系理系を問わず「現代文の偏差値が高い」ということです。
33人現役合格したこの学年は、他の学年より圧倒的に現代文の偏差値が高かったのです。
この学年に限らず、東大に現役合格できるかどうかの1つの目安に、3年生の夏にある東大模試で総合偏差値56を取れるかどうか、というものがありました。
しかしそれをさらに掘り下げてみると、理系の生徒で総合偏差値は56あっても、現代文の偏差値が40そこそこだったら、合格は難しいことが判明したのです。
その後も私は、土浦第一高校だけでなく、茨城県内で最も歴史ある進学校の水戸第一高校や、並木中等教育学校で、東大受験する生徒や現役合格する生徒を数多く見てきました。
理系の生徒で東大模試の現代文の偏差値が56あれば、
「現役で東大に行けるぞ」
と声をかけましたし、実際そのとおりになりました。
文系の場合は、もともと現代文が得意な子が多いので60以上が当たり前ですが、理系の場合そうではありません。
なぜ現代文が東大合否を分けるポイントだったのでしょう。
それは他の科目と異なり、ある能力のバロメーターという側面があるからだと私は考えています。
それは、「論理力」です。