ヤクザの世界で行われる「指詰め」はどれほど痛いのか。ノンフィクション作家の尾島正洋さんは「かつて自分で指を切断したという暴力団幹部は『指を詰めた日は、夕方あたりから心臓の鼓動に合わせて指先がズキン、ズキンと痛んだ』と話していた」という――。(第3回)

※本稿は、尾島正洋『俺たちはどう生きるか 現代ヤクザのカネ、女、辞め時』(講談社+α新書)の一部を再編集したものです。

入れ墨の彫られた男の背中
写真=iStock.com/Aleksandar Jankovic
※写真はイメージです

「指詰め」は実際どのくらい痛いのか

暴力団社会では不祥事や不始末があった際のケジメとして「指詰め」が行われることがある。自ら手の指を切断することで、謝罪の意や誠意を示す。かつては組織を脱退する際にも行われていた。暴力団幹部らは「ヤクザの社会での伝統的なケジメ」と口を揃える。

指定暴力団幹部「自分が指を詰めたのは10代後半のまだ若いころだ。指を詰めた日は、夕方あたりから心臓の鼓動に合わせて指先が『ズキン、ズキン』と痛み、3日間ほどは本当に痛かった。

関東地方のある組織に志願して入門し事務所に出入りするようになったが、『部屋住み』と呼ばれる住み込みでの行儀見習いが身につく前に、事情があって離れることになった。わずかな期間だったので、申し訳ないという気持ちから指を詰めることにした。

自分で包丁を右手で持って左手の小指に当て、親しい友人に包丁の上部にハンマーを振り下ろしてもらった。痛みはあったが、一発でスパッと切れた。すぐに病院で治療してもらい、麻酔が効いてくると痛みはさほどでもなかった。病院ではまず切断した指の先端の骨を削ったうえで、縫い合わせた。当初は麻酔が効いていたが、切れてくると痛みが続いた。事務所を訪ね切断した指を親分に手渡して詫びた。

自ら志願しておきながら短期間で抜けたことが指を詰めて詫びを入れるほどの不祥事かどうかは不明だが……。親分に気持ちを伝える目的もあったが、やはりヤクザをやっていくには指を詰めていたほうがカッコいいという考えや、指を詰めていることへの憧れという気持ちもあった。いまからすると、若気の至りかもしれないが。」

この幹部は、その後、違う指定暴力団の二次団体の組長の盃を受けて組織に入り、首都圏各地で活動を続けている。