自分の小指を食いちぎったヤクザも
別の指定暴力団幹部「指を詰めることは、不祥事、不始末があった際のヤクザのケジメ。ヤクザは『すみませんでした』の一言では済まない。
あるヤクザがミスをして1000万円の穴をあけてしまい、幹部から『どうするんだ。責任を取れ』と追及される事態になったとする。このご時世、1000万円を作れと言われても、そう簡単には作れない。そうなると『それで済むなら』と指を詰めることになる。」
警察当局の捜査幹部OB「かなり昔の話だが、東京のある組で、若い衆が下手を打ったことが原因でカネをめぐって大問題が発覚した。この若い衆が殺されてもおかしくないほどの大きなトラブルだったようだ。
この組の親分が若い衆を呼び出して『どうなっているんだ』と詰問した。『責任を取れ。すぐにケジメをつけろ』と迫ったところ、若い衆はその場で自分の左手の小指の先端に噛みついて歯で食いちぎってしまったという。これには親分も参ったらしい。
最近は変わってきているが、昔は『その程度の不始末で詰めるのか』というぐらいに、問題があると何でもすぐに指を切っていた。だから、指が何本もないヤクザは結構いる。」
指詰めを強要して逮捕されるヤクザたち
暴力団対策法には、指詰めを禁ずる規定がある。違反行為には中止命令が出され、それでも是正されなければ再発防止命令となる。
福岡の道仁会系暴力団では、次のような事例があった。31歳の組員が「組を辞めて、まじめにカタギになって仕事をしたい」と申し出た。これに対し同会幹部は、「そんな理由で辞められると思うなよ。辞めたいのなら、指の1本でも持ってこい」と指を詰めることを強要し、脱退を妨害したとして2013年11月、中止命令を受けた。
さらに2014年8月にも別の28歳の組員の脱退を妨害し、指詰めを強要していたため、福岡県公安委員会が2015年3月、再発防止命令を出した。2016年5月には、富山県警が山口組系暴力団幹部ら4人を傷害と監禁容疑で逮捕している。
組員の男性が、六代目山口組から分派した神戸山口組に合流しようとしたことに怒り、組幹部らがこの男性を拉致した。車に乗せて連れまわした挙げ句、富山市内の山中で暴行し男性の指を切断する重傷を負わせた。
2014年1月にも同様の事件で逮捕者が出ている。組を抜けようとした27歳の男性を車で拉致して名古屋市内の事務所に連れて行き、男性の左手の小指をノミとハンマーを使って切断したとして、山口組系幹部らが傷害容疑で逮捕された。