銘柄選び、買い時の見極め方

〇 トヨタ自動車

トヨタ自動車は、利益率、一株利益とも2023年3月期は減少に転じたものの、長い目で見れば上昇傾向にあり、業績は堅調であることが読み取れます。配当は増加傾向にあります。

自己資本比率は30%台後半で推移しており、この業種としては問題のない水準です。ROE(自己資本利益率)は、概ね10%程度で推移しており、資本効率に問題はありません。営業活動によるキャッシュ・フローはプラスで推移しており、手元キャッシュも潤沢です。事業継続に何の不安もありません。

ずらりと並んだレクサスUX
写真=iStock.com/Tramino
※写真はイメージです

株価は業績の堅調さを反映して高値圏で推移しており、株価だけを見ると以前よりも高くなっていると感じるため、手が出しにくい状況かと思います。そういう場合は、予想PER(株価収益率)レンジ、PBR(株価純資産倍率)レンジを確認して、指標面から買える水準にあるのかを確認しましょう。

株価は自分が買いたいと思っても、都合良く安くなってくれるわけではありません。かといって、割高なときに無理して買ってもリターンは期待できません。そこで、少なくとも、過去の平均よりは安くなったときに買う、それまでは待つというスタンスが負けにくい投資を実現してくれると考えます。

なお、予想PERレンジ、PBRレンジはSBI証券の株アプリで、「銘柄分析」⇒「株価指標」とタブを選択していくことで簡単に確認ができ、私も通常はこのSBI証券の株アプリを利用しています。

PERは割安、PBRは割高

それでは具体的に見ていきましょう。

トヨタ自動車の過去5年間における予想PERの数値は、最低値が7.1倍、最高値が27.9倍、平均値が12.1倍です。このことから予想PERのレンジは7.1倍~27.9倍、レンジ内の平均が12.1倍ということが分かります。

2023年12月7日現在の予想PERは9.6倍となっていますので、業績面(予想PER)の観点からは、株価は過去5年の平均よりも安い水準にあると考えることができます。

同様にPBRについても確認して見ましょう。トヨタ自動車の過去5年間におけるPBRは、最低値が0.81倍、最高値が1.36倍、平均値が1.05倍となっています。2023年12月7日現在のPBRが1.18倍となっています。つまり、資産面(PBR)の観点からは、株価は過去5年の平均よりも高い水準にあると考えることができます。

PERは割安、PBRは割高となっているので、敢えて今の株価で買うのであれば、セクター分散のため等、投資する理由を明確にしておく必要があると思います。安全域が確保できるのは、予想PERのレンジ、PBRのレンジにおいて、ともに低い水準にあるときです。その機会を待つのも立派な選択肢の一つであることを覚えておいて損はありません。

【図表】トヨタ自動車の経営指標等
筆者作成