財務基盤は鉄壁だけど…

〇 任天堂

任天堂は、利益率、1株利益ともに高い水準にあるものの、やや下落傾向です。配当は業績連動型のため、振れ幅は大きくなっています。

自己資本比率は80%前後で推移しており財務基盤は鉄壁です。ROE(自己資本利益率)は高い水準で推移しており資本効率に問題はありません。営業活動によるキャッシュ・フローはプラスで推移しており手元キャッシュは潤沢です。事業継続に何の問題もないでしょう。

任天堂の業績はここ数年、好調を維持しています。好調が続けばいいのですが、ゲーム業界というものはヒットが生まれなければ業績は急激に悪化し、業績連動型の配当政策を採用している任天堂も大幅な減配を余儀なくされます。

ヒットが生まれなかった10年ほど前は、かなり苦しい経営を強いられており、2012年3月期と2014年3月期は赤字でした。当然、配当も大幅な減配となり株価も大きく下げています。そのようなリスクを内包した銘柄であるということを理解しておくことは必要と考えます。

予想PERレンジ、PBRレンジを見ると「買いの水準」にある

それでは、予想PERレンジ、PBRレンジを確認していきましょう。

長期株式投資『半オートモードで月に23.5万円が入ってくる「超配当」株投資』(KADOKAWA)
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任天堂の過去5年間における予想PERの数値は、最低値が15.7倍、最高値が36.3倍、平均値が22.3倍です。2023年12月7日現在の予想PERは19.0倍となっていますので、業績面(予想PER)の観点からは、株価は過去5年の平均よりもやや安い水準にあると考えることができます。

同様にPBRについても確認して見ましょう。任天堂の過去5年間におけるPBRは、最低値が2.47倍、最高値が4.82倍、平均値が3.49倍となっています。2023年12月7日現在のPBRが3.24倍となっています。つまり、資産面(PBR)の観点からは、株価は過去5年の平均よりも少しだけ安い水準にあると考えることができます。

予想PERのレンジ、PBRのレンジにおいて、ともに平均よりも低い水準にありますので、平均的な水準よりも買える水準にあるという判断も可能でしょう。

【図表】任天堂の経営指標等
筆者作成

「レンジの最低値」を狙い、割安な優良株をコツコツ買い続ける

ここまで、予想PERレンジ、PBRレンジを活用して判断する方法を確認してきました。平均値よりも現在の数値が低ければ割安という判断もできようかと思います。しかし、最も投資妙味があるのは、予想PERもPBRもレンジ内の最低値に位置しているケースです。

特段の事情がなければ、そのような条件が揃ったときに投資することで、大きな失敗を避けることができるでしょう。負けにくい投資手法の一つとして、ぜひ活用してみてください。

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