死亡保険にも医療保険にも加入していない
医療保険の主な保障は、入院したときの給付金です。「入院すれば1日6000円」といった保障があると何となく安心できる気がするかもしれませんが、仮に1カ月入院したとして、受け取れるのは18万円にすぎません。
ちなみに厚生労働省の2020年の患者調査によれば、病院の平均在院日数は約33日です。さらにいえば、近年は入院日数が短期化する傾向が続いていますし、この平均在院日数には高齢者の方も含まれていますから、いま50代の方が30日も入院するケースは少ないと考えられます。このくらいの金額なら、いまある貯蓄で十分に賄えるという人は多いはずです。
改めて考えてみて、「保険金を受け取れないと困難な状況に陥る」わけではないなら、毎月、高い保険料を支払い続けるべきではありません。ちなみに、私自身は死亡保険にも医療保険にも加入していません。必要がないからです。
外貨建て保険は絶対に選ばない
もっと必要性が低いのは、貯蓄性のある保険や「運用もできる」という保険です。「お金が貯まります」という保険は、途中で解約すると元本割れするもの、満期まで保有しても運用利回りが低く、魅力が薄いものばかりです。
「運用できる」という保険には外貨建て保険などがありますが、これも加入して10年以上にもわたって「解約すれば、元本割れ」という状況が続くのが一般的です。
なぜこのようなことになるのかというと、加入時に負担する手数料が高く、実際に運用に回る分が少なくなってしまうからです。「それでもプロが運用してくれるなら……」と思うかもしれませんが、残念ながら、外貨建て保険で魅力的な運用を行っている商品はありません。高い手数料を払ってまで、わざわざ運用してもらう意味がまったくないので、私は外貨建て保険は絶対に選びません。
これはよくいわれることですが、そもそも「貯蓄・運用」と「保険」は分けて考えるべきなのです。
保険とは、保険料というコストを支払って「万が一」に備えるためのものです。「万が一」に備える必要がある場面でのみ、コストを抑えて加入し、不要になったらやめるのが最も合理的です。
おそらく、このような考えに基づいて保険を見直せば、50代の方が1カ月に3万5000円も生命保険料にあてる必要はないはずです。ぜひ保険を見直し、浮いた保険料は、この後ご紹介する方法で運用に回しましょう。
「貯蓄から投資へ」「貯蓄から資産形成へ」といった掛け声を聞くようになって久しいですが、私は、保険好きといわれる日本人は「保険から投資へ」「保険から資産形成へ」の流れも加速させるべきだと思っています。