「心配しても仕方ないだろう」はNG
例3) 不安感への共感
部下「クライアントへの提案の回答がもうすぐ返ってくるんですが、心配で……」
NG「なるようにしかならないんだから、心配しても仕方ないだろう。心配する暇があったら手を動かせ」
OK「やはり連絡があるまでは落ち着かないものだな。ただ、万全の提案だったと思うから、あとはゆっくり結果を待とう」
上司や先輩目線だと、つい感情面よりも実務的な返答をしてしまいがちですが、反応時に相手の感情を代弁するような適切な言葉を選び、付け加えてコメントしましょう。
話し手は、あなたが自分の気持ちに共感してくれたことに対して心がオープンになり、双方の関係性の強化に繫がることは間違いありません。
「いい加減にしろ‼」より「残念だ」が効果的
部下がやらかしたミスや問題行動に対して、つい声を荒らげて怒り、無理矢理行動を矯正したくなるという方も多いでしょう。気持ちはわかりますが、一連の行動は部下指導においてまったく本質的ではありません。本来のゴールは、その部下が同じミスを二度と繰り返さなくなり、かつ引き続き組織に貢献したいという前向きな気持ちを持てるようにすることのはずです。
「何をやってるんだ⁉」「ふざけるな‼」などと怒りの一言を放ちたくなった際には一歩踏みとどまり、「なぜ自分はそんな気持ちになってしまったのか?」と振り返り、その源となる感情を整理したうえで、冷静に伝えるほうが効果的です。
NG「何をやってるんだ⁉」
↓
OK「そのやり方でうまくいくのか、私には心配だなぁ」
NG「またミスしたのか‼ ふざけるな‼」
↓
OK「今回こそはしっかりやってくれるはずだと期待していたから、不本意な気持ちだよ」
NG「この前の話を聞いてなかったのか⁉ いい加減にしろ‼」
↓
OK「繰り返し『頼むぞ!』とお願いしていたけれども、伝わっていなかったようだな。残念だ」
怒りから生まれる強い調子の言葉よりも、相手の言動や行動によって生まれたあなた自身の感情をそのままの言葉で、自分を主語にして伝えるほうがより効果的で、相手の心に伝わります。
結果、相手の主体性を引き出し、前向きな行動改善に繫がるでしょう。