どうすれば時間を効率的に使えるのか。順天堂大学医学部教授の小林弘幸さんは「脳が活性化し、集中力が高まっている時間に創造的な仕事をこなし、パフォーマンスがあがらない時間をルーティンワークにあてるといい」という――。
※本稿は、小林弘幸『「シンプル」な選択が自律神経を整える理由』(青春新書プレイブックス)の一部を再編集したものです。
イチロー・羽生結弦・五郎丸歩に共通する「ある工夫」
アスリートが、いつも決まった動作をしてからプレーやパフォーマンスに入るのを、テレビなどでよく見かけるかと思います。
たとえば、元メジャーリーガーのイチロー選手は、バッターボックスに入るとき、いつも右腕でバットをグルンと回し、袖をまくってピッチャー方向にバットを立ててから、構えに入っていました。
フィギュアスケーターの羽生結弦さんは、競技選手時代、演技に入る前には、必ず胸の前で十字を切るような仕草をしていました。
2015年のラグビーのワールドカップでは、五郎丸歩選手が、キックをする際、お祈りをするかのように両手を組んでからボールを蹴っていました。
この「五郎丸ポーズ」は、大きな注目を集めましたから、ご存じの方も多いでしょう。
大谷翔平の「フェンスへの壁当て」も「ルーティン」
これらは、「決められた手順」や「日課」などを意味する「ルーティン」と呼ばれています。
では、なぜ多くのアスリートが、こうしたルーティンを持っているのでしょうか。
それは、まさに自律神経を整えるためです。
緊張を強いられる場面でも、いつもと同じ動作を行うことで、平常心を保ち、練習と同じような結果を出すことが期待できるのです。
多くのアスリートが、プレー中のこうしたルーティンのみならず、試合の前後にもルーティンを持っています。試合前に大谷翔平選手が行うフェンスへの壁当てなども有名です。