「ルーティン」を持つと「うつ」になりにくい

私は、こうしたルーティンを、アスリートに限らず、学生やビジネスパーソンなども、もっと日常生活に取り入れるべきだと思っています。

世の中を一変させてしまったコロナ禍を経験した今の時代だからこそ、なおさら必要だと思います。

コロナ禍では、「うつ」の人がとても増えました。それは、これまでと生活がガラッと変わってしまったからです。

学校にも会社にも行けない。仕事帰りに、毎日のように立ち寄っていた居酒屋も休業してしまった。当たり前にやっていたことが、まるでできなくなってしまったから、不安やストレスが増大したのです。

毎日同じことの繰り返しはつまらないと思うかもしれませんが、実は、それが平常心を保つコツなのです。

「マニュアル」があると「迷い」がなくなる

決めごとは何でもいいのです。

朝起きてコーヒーを1杯飲んで出かけると、仕事のパフォーマンスが上がると思ったら、朝1杯のコーヒーをルーティンにする。

鏡の前で深呼吸をして出かけて気分が変わったのなら、それを取り入れる。1日のなかでよかった事例を書き出していけば、自分のルーティンができてきます。

そして、それに沿って生活していれば、自律神経が乱れませんから、仕事でもプライベートでも安定した状態で臨むことができます。

カフェのテーブルに置かれたホットコーヒー
写真=iStock.com/alvarez
「朝1杯のコーヒー」もルーティン(※写真はイメージです)

「マニュアル」も同じことです。

「マニュアル」という言葉は、「マニュアル人間=いわれたことしかできない、独創性がない」といったように否定的な意味合いで使われることが多いのですが、決して悪いものではありません。

仕事や飲食店などのマニュアルには、迷いをなくすというメリットがあります。

マニュアルがあれば、やり方がわからなくてムダに時間がかかってしまったり、手順を間違えて失敗したりすることも少なくなります。

あらかじめやり方や手順がわかっているので、迷わずに行えますから、平常心で仕事ができます。

決まりきったやり方や変化のない日常は、一見、面白味がないと思うかもしれませんが、自律神経の面ではとてもいいことなのです。