「開けた歌劇団」にすることが再生への近道
今回、労働基準監督署が宝塚歌劇団に2度の立ち入り調査を行っていますが、2年前の2021年にも演出助手の休日労働などに関して、労基署から是正勧告を受けています。労働環境が劣悪で、従業員満足度が低いまま放置することは許されません。劇団員の離職率が高いことも問題で、人権と健康を守る仕組み作りが急務となっています。
宝塚歌劇団の要職に就いている人々は、阪急阪神ホールディングスのトップの顔色を伺っているとしか思えません。宝塚音楽学校の入学試験に、阪急阪神HDのトップが立ち会い、親の職業や年収を問いただしているという報道もあり、カネとコネがないと、タカラヅカの舞台でいい役に就けないという情報も流れています。これが真実ならば、不当な差別に該当します。このように、さまざまな人権問題を歌劇団は抱えているようです。
グループ企業内で起きていた、いじめやパワハラを隠蔽してきたのなら、阪急阪神HDのトップは辞めざるを得ないでしょう。阪急電鉄の一部門ではありますが、宝塚歌劇団に労働組合を復活させ、劇団員が社員という立場から業務委託契約に変更するかどうかは本人の選択制にする、人権問題や労働問題に詳しい弁護士を労働組合の顧問にするなど、労使関係と職場環境の再整備に取りかかる必要があります。
外からの風を入れ、自由闊達にものが言える宝塚歌劇団にすることが、傷付いた信用とプライドを取り戻すことにつながり、再生への近道になるのではないでしょうか。