興味があるふりをしているだけで相手からは好かれる
もう一人の候補者は、面接のできは散々だった。緊張して、おどおどしていて、どの質問にもまともに答えられなかった。彼がほとんど話さなかったので、CEOは自分の話をたくさんすることができた。自分の仕事、自分の評判、自分が世界に対していかに重要な貢献をしているかについて、思う存分語っていた。候補者は、それを聞いてただ頷いていた。
さあ、誰が採用されただろうか? そう、面接のできがいちばん悪かった候補者だ。彼はCEOにたっぷりと話す時間を与え、ずっと感心しながら聞いていたからだ。
19世紀に活躍した心理学者のウィリアム・ジェームズは、「人間の行動を司るもっとも基本的な原理は、他者の承認を切望する気持ちである」という有名な言葉を残している。だから、あなたも積極的に他人を認めよう。もし相手にまったく興味がないなら、興味のあるふりをすればいい。そうすれば、相手はあなたが好きになる。
「最大にして唯一の成功の秘訣は、他人の立場でものを見ること」
史上最大の自己啓発作家であるデール・カーネギーは、著書の『人を動かす』の中でこう書いている。「もちろん、興味があるのは自分の欲しいものだ。(中略)あなた以外の人もそれは同じで、誰もが自分の欲しいものに興味を持っている。そのため、他人に影響を与えるには、相手が欲しいものについて語り、それを手に入れる方法を教えてあげるのが唯一の方法ということになる」。
ヘンリー・フォードも同じようなことを言っていて、彼はそれを、「最大にして唯一の成功の秘訣は、他人の考え方を理解し、他人の立場でものを見ることだ」と表現した。
心理学者は、このような態度を「共感」と呼んでいる。これができている人がほとんどいないのは、みな自分のことばかり考えているからだ。自信のある人もない人も、その点は同じである。
自信が高すぎる人は、他人から見た自分はそれほどたいしたことはないという事実に気づいていない。そして自信が低すぎる人は、他人が自分を認めていることに気づいていない。どちらも自分の気持ちにしか目が行かず、他人が自分をどう見ているかということまで考える余裕がない。