1通のメールに「私」と何回書いているか

ここで、これまでの議論を踏まえ、私にとって最高のアドバイスになった言葉をあなたにも送りたいと思う――「トマス、おまえの話じゃないんだよ」。

トマス・チャモロ=プリミュージク『「自信がない」という価値』(河出書房新社)
トマス・チャモロ=プリミュージク『「自信がない」という価値』(河出書房新社)

当時はひどいことを言うと思ったが(なぜなら、おまえはナルシシストだと言われたのと同じだからだ)、この言葉のおかげで、自分がいかに自分のことばかり話し、自分のことばかり考えていて、そのせいで他の人のことをほとんど考えていなかったということを自覚できた。自信の低い人も、同じような間違いをしがちだ。自分の自尊心のことばかり気になって、他の人の気持ちや考えまで思いがいたらない。

面と向かっての会話で、「自分、自分」の人だという印象を与えるのは、たいてい自信家で、自分の話ばかりする人だ。しかし、文字でのコミュニケーション(メール、手紙、メッセージなど)でも、内容を分析すれば、書き手が自分中心かどうかはすぐにわかる。ただ「私」という言葉を使う回数を数えればいいのだ(これは、自己愛の度合いを測るときによく使われるテクニックだ)。

自分の話をするのをやめれば不安を克服できる

自分が書いたものを、この方法で分析してみてもいいだろう。今度メールを書くときに注意していれば、「私」という言葉を書かないのがどれほど大変かわかるはずだ――しかし、自分のことばかり書くのをやめれば、その見返りは十分にある。

ここでのいいニュースは、自分のことばかり話すのをやめれば、いやでも他人に注意が向き、彼らの視点で世界を眺められるようになり、その結果として自分の不安を克服できるということだ。不安が大きくなるのは、自分のことばかり考えているからだ。他者の視点に立てば、「自分が自分についてどう考えるか」なんて、思っていたほど重要でないことがわかる。

むしろ人生で大切なのは、「他人が自分をどう思うか」だ。そしてそれを決めるのは、あなたの自信ではなく、あなたの実力だ。

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