自分の心配ばかりしていると成長のチャンスを逃す

世の中には、2種類の戦いが存在する――他人を相手にする戦いと、自分を相手にする戦いだ。そして本当の意味で勝つことができるのは、前者の他人を相手にする戦いだけだ。自分との戦いは、結局は負けるだけでなく、心身ともに疲弊し、他人との戦いに使う力まで奪われる。

つまり私が言いたいのは、自分のことばかり考えるのはやめて、もっと他人のことを考えようということだ。なぜそんなことを言うかというと、理由は単純で、自信と実力の関係は次のような仕組みになっているからだ。

自分中心=自分の自信を心配する
他者中心=自分の実力を心配する

今より向上するには、他の人から認められることも必要だ。実際、普段から自信の低い人なら、自分が自分にいちばん厳しいだろうから、他人に実力を認めてもらうのは思っているよりも簡単だろう。

私の知り合いの中にも、自信がなくて自分を卑下してばかりいるのに、実際は才能があって、魅力的で、成功している人はたくさんいる。それでも彼らは、他の人からどんなに褒められても、自分はダメだという考えに固執している。そうやって自分の考えばかりに凝り固まっていると、自信のなさのことばかりが気になって、実力を上げる努力のほうがおろそかになってしまうかもしれない。

たいていの人は自分のことばかり考えている

自分のことばかり気にしていたら、他人を気にする時間がなくなってしまう。そこで、他人のことも考えるようにすると(「他人」の中には、必然的に「他人があなたについて考えていること」も含まれる)、人付き合いだけでなく、それ以外のことでも成功できるだろう。たいていの人は自分のことばかり考えているので、他人のことを考えられる人は、それだけで特別な存在になれる。

私は最近、ある銀行で就職の面接の手伝いをした。選考の責任者は、その銀行のCEOだ。彼はどこから見ても「自分中心」の人物だった。自信満々で、他人にはまったく興味がない。唯一興味を持つ他人は、自分に興味を持っている人だけだ。

候補者のうち、3人の面接はとてもうまくいった。彼らはみな、聡明で、話もわかりやすい。それに非の打ち所のない資格も持っている。しかし、この3人はCEOに興味を示さないという失敗を犯してしまった。自信家の彼らは、自分のことばかり話し、CEOに口を挟む隙をまったく与えなかった。