どんな成功者でも小さな弱点が命取りに
1、今やっている、これまでやってきた「悪しきことをやめる」努力
ブッダは、私たち人間は平等だとおっしゃった。何において平等であるかというと、「愚かさにおいて」平等であるという。これは本当にその通りで、どんな人にも、大なり小なり、悪しき習慣が1つ、2つあったりする。それが長い目で見て、健康を害するものであったり、仕事の質を下げるものであったり、人生を破滅に向かわせるものであったりする場合、それをやめる努力をしなさいと言うのである。
これはお寺にいて、人々の人生を定点観測していると痛いほど良くわかる。
若いときは、多少悪しきことがあってもあまり気にせず、善きところをどんどん伸ばせばいいと思う。けれども、歳を重ねると、長所よりも短所によって足元をすくわれることが増えるのだ。
歴史上の人物を見れば明らかだ。若き時にその能力を欲しいままに才能を発揮した人が、晩年、小さな自分の弱点によって大没落していくことはいくつもある。
だから、歳を重ねるごとに、今やっている、あるいはこれまでやってきた「悪しきこと」を意識して、やめる努力をしたほうがいい。
安定する中年こそ「悪しきこと」に要注意
2、これから先さまざまな誘惑があっても「悪しきことはしない」努力
それなりに努力を積み重ねて生きていると、次第に人生の勝ちパターンが見えてくる。特に若いときからコツコツと努力を積み重ねて、経済的にも安定してくる年齢がある。そんな時こそ気をつけたいのが、この教訓だ。ふと、魔がさすというか、コツコツ真面目を外れて、ちょっと冒険したくなったりするのだ。
そして、そんなふとした瞬間を、これまた悪い奴は見逃さない。安定してくると、つまらなそうなオーラを出して、間抜けヅラを晒している人につけ込む輩がいるのだ。「ちょいワル親父」などと、くすぐったい言葉に誘われて、その気になってしまうような人こそ、気をつけたほうがいい。
せっかくこれまで積み上げてきた信用や資産、能力などを、一瞬にして失ったり鈍らせてしまうことになる。
中年以降気をつけたほうがいいのが、この「これから先、さまざまな誘惑があっても『悪しきことはしない』努力」だ。