面接に受かるコツはあるのだろうか。多方面で活躍するタレント・田村淳さんは「僕は、売れない時代にたくさんアルバイトをしたが、生まれてからこの方、一度も採用面接で落ちたことがない。当時心がけていたのは『スタッカートな返事』と『動機を飾らずに伝える』というテクニックだった」という――。

※本稿は、田村淳『超コミュ力』(すばる舎)の一部を再編集したものです。

「なぜか出世する人」がやっていること

あなたの新入社員時代を思い出してみてください。

まったく同じタイミングで入社したのに、上司からすぐに可愛がられ、自分よりはるかに早いスピードで出世した人がいたのではないでしょうか?

そんな姿を見て、もしかしたら「あいつは上司に媚を売った卑怯なやつだ」と思ってしまったかもしれません。

ただ、そんな考えは捨てましょう。僕はむしろどんどん媚を売るべきだと思っています。

「媚を売る」という表現から悪いイメージを持たれがちですが、その実際の行動といえば、相手の気持ちに寄り添い、喜ばせようという姿勢です。

たとえその動機が不純なものだとしても、結果として相手を喜ばせることができ、自分の出世にもつながるのであれば、やらない理由はありません。

森蘭丸のコミュ力は秀吉よりも上

ちなみに、この「媚を売る」ということについて、非常に印象的な人物がいます。

それは、織田信長の小姓・森蘭丸です。

僕はいままで、豊臣秀吉が信長の周りで一番コミュ力が高いと思っていました。

しかし、とある逸話を聞いて、「森蘭丸のほうが圧倒的に上だな」と考えを改めました。

信長には意地の悪いところがあり、部下の能力や機転の速さを確かめるために、ときどき実験のようなことをします。

ある日、信長が蘭丸に命令しました。

「障子を開けっ放しにしてきたから、閉めてこい」

ところが、蘭丸が向かうと障子は開いていません。

京都・千園寺の障子戸
写真=iStock.com/tekinturkdogan
「障子を開けっ放しにしてきたから、閉めてこい」(※写真はイメージです)