「会議の報告内容を検討する会議」も存在する

「無駄な会議・打ち合わせ」で言えば、中堅の専門商社で部長を務める社員の証言を思い出します。彼は毎週、5件ほどの会議に出席し、そのほとんどがダラダラ続く無駄な報告会だと苦笑していたのです。彼は言いました。

「なかには2時間近くかかる会議もあるんです。そこでは出席者各自が担当するプロジェクトの進捗しんちょく報告を行い、その場で質問や意見をやりとりするのですが、会議で決めることや相談・確認すべきことがあいまいで、いったい何のために開いているのか実はよくわかりません。おそらく担当役員が、所管するプロジェクトの進捗状況を知って安心したいだけなんだろうと思います。我々にとっては長時間会議が負担となり、本来の仕事に集中できなくさせてしまう非効率の根源でしかありません」

大手出版社の営業担当者が「毎週、会議でどのように報告するかを検討するための会議を開いている」と打ち明けてくれたこともありました。冗談みたいな話ですが、検討会議を毎週開催する上司は大真面目で、数人の部下たちと時にダメ出しを交えながら会議での報告内容をすり合わせるのだそうです。

費やされる時間は毎回およそ1時間だそうですから、仮に5人が参加すれば毎週5時間もの貴重な時間が奪われてしまう計算になります。それらの時間を本来の仕事に振り向ければ労働生産性は確実に上がるはずですが……。

「無意味な社内ルール」に苦しめられる

「無意味な書類提出」「無意味な社内ルールの順守」「意義が不明な慣例となっている業務」などの項目にぴんと来た読者もいらっしゃるでしょう。

「毎日、営業日報を提出させられる。何のためなのかわからない」(機械部品メーカーの営業担当者)
「研修を受けたらその都度、学びや気づきについて記したレポートを提出させられる。忙しいので、そんなことに割く時間が本当にもったいないと思う」(中堅流通業の若手社員)
「管理部門が送りつけてくる『特集などの編集に使用した資料はいつまで保管しているのか』といったどうでもいいようなアンケートに毎週のように答えさせられ、肝心の雑誌編集に投入したい時間を奪われてしまう」(大手出版社の雑誌編集長)
「訪問先への直行、訪問先からの直帰は禁止、いったん出社・帰社しなければならないルールですが、正直、意味がわからない」(中堅の専門商社の営業担当者)

これらはすべて私の取材ノートからの抜粋です。

アンケートでは「あなたは『無駄・無意味な仕事』をやらされていますか?」とも尋ねてみました。結果は「はい」が66人で44%でした。5人に2人以上が「無駄・無意味な仕事」をやらされていると考えているのです。しかも20代の若手会社員に限ってみると、56%と割合は高くなります。(図表3)

無駄・無意味な仕事は発言力に乏しい若手社員に押し付けられがちであるという実情がわかります。