「不定愁訴」の原因にもなる

不眠により脳に負担がかかると、「脳過労」状態になり、さまざまな心身の不調を引き起こします。

その症状は、頭痛やふらつき、身体の痛みなど、多岐にわたるため、一般の病院では見過ごされてしまうことも少なくありません。

結果、適切な治療が受けられないまま、長い間症状に悩まされることもあります。

不眠が原因で起こる心身の不調として、頭痛やうつ状態、のどや舌の痛み、めまい、自律神経失調症、パニック障害などがあります。

外から見ただけではわからないことも多く、単に「精神的な問題」として片付けられることもよくあります。

こうした客観的に原因が特定できない症状を「不定愁訴」と言いますが、本当の原因は睡眠不足である場合も多いのです。

睡眠不足で原因不明の痛みが出ることも

脳の前頭葉には痛みをコントロールする機能がありますが、睡眠不足が続き、前頭葉の働きが低下すると、痛みに過敏になることがあります。

奥村歩『スマホ脳・脳過労からあなたを救う 脳のゴミを洗い流す「熟睡習慣」』(すばる舎)
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痛みや刺激は、皮膚や筋肉、関節など身体の末梢部分から、脊髄の後角に伝えられます。

脊髄の後角には、どの程度痛みを脳に伝えるかを調節する関門(ゲート)があります。身体に起こった強い刺激を有害なものだと判定すると、ゲートが開き、強い痛みの信号が脳まで届くのです。

この際、逆に脳からも、脊髄の後角に対して、痛みを抑制する信号が送られます。

これが「ゲートコントロールセオリー」と呼ばれるものです。

ただ、睡眠不足によって「脳過労」の状態になると、神経伝達物質が不足してしまい、脳による痛みの調節機能が低下してしまいます。

その結果、頭痛や腰痛をはじめ、さまざまな「原因不明」の痛みが生まれると考えられています。

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