睡眠不足で糖尿病発症リスクが高まる

健康な人が高血糖にならずに過ごしていられるのは、血糖値を下げるインスリンがすい臓から分泌され、血糖値をコントロールしてくれるからです。

ただ、睡眠不足だと空腹時血糖値が上昇しやすくなります。その結果、インスリンが大量に必要となり、基礎インスリン分泌能が低下するため、糖尿病を発症するリスクが高くなります。

測定するイメージ
写真=iStock.com/vgajic
睡眠不足で糖尿病発症リスクが高まる(※写真はイメージです)

高血糖が続くと、動脈硬化が進み、心臓の機能も低下してしまいます。

ひとたび糖尿病になると、高い血糖値を下げるために多くのインスリンが必要になります。

その結果、インスリンに対する感受性が低下、つまりインスリンの作用が十分に発揮できない状態になります。この状態を「インスリン抵抗性」と言います。

アルツハイマー型認知症が進行してしまう

また、大量に分泌されたインスリンを分解するために、「インスリン分解酵素」が大量に必要となります。

このインスリン分解酵素の無駄づかいが大問題なのです。

「アミロイドβ」という脳のゴミが溜まり、神経細胞が破壊されることで、アルツハイマー型認知症を発症すると考えられています。

このアミロイドβを分解する役割をインスリン分解酵素が担っているからです。

糖尿病になると、インスリン分解酵素が無駄づかいされ、アミロイドβの分解にまで十分に回らないため、アルツハイマー病が進行してしまう可能性があります。

このことを裏付けるように、全世界の糖尿病患者とアルツハイマー病患者を対象にした研究(Rotterdam Study、1999年)では、糖尿病によってアルツハイマー病の発症リスクが2倍以上に増加することが明らかになっています。