「トンデモ議員に税金を使われたくない」
9月に刊行した『50代で一足遅れてフェミニズムを知った私がひとりで安心して暮らしていくために考えた身近な政治のこと』(左右社)で、和田さんは町議会で男女同数(パリテ)の状態が20年以上続く神奈川県の大磯町に光を当て、多様性を体現する議会から見えてきたことを丁寧に記している。
驚かされるのは、大磯町民の議会への関心の高さだ。その背景には、議場での議員のやりとりをくまなく「可視化」する取り組みがある。例えば議会はケーブルテレビで中継され、本会議と委員会をDVDにして貸し出し、すべての委員会を含む議事録を公開している。しかも、この議会中継は視聴率が高いという。
「大磯町では男女同数議会が成立した2003年から、『自分たちが活動しやすく、町民に分かりやすい議会にしよう』と、積極的に情報公開を進めました。女性議員が増えたらどうなる? って、そういうことになるという実例です。町の人たちは今、議会中継を『大磯町劇場』と呼んで、楽しんで見ています」
地方議会を私たちは軽視しすぎてきたのではないか、と和田さんは語る。
「大磯町議会を知って私自身も反省し、地方議会を見なきゃいけないなと思いました。議会のチェック役を果たす大磯の町民を『すごい!』と言ったら、町議さんに『だって税金はなくならないでしょう? それなら、その使い方を決める議会を見て参加するのは当然ですよね』と言われて頷きました。問題発言をするトンデモ議員に、私の払った税金を好き勝手にされたくはないですから」