ある親子を傷つけた市長の発言
「ニュースで知りましたが、どっかの市長の発言。ほんとうに腹立たしかった」
10月下旬、秋田県内の知人女性からラインが届いた。
「どっかの市長」とは滋賀県東近江市の小椋正清市長のことだ。その発言は「不登校は子どものわがままで、親に責任がある」「フリースクールは国家の根幹を崩してしまうことになりかねない」というものだった。10月17日の会議の際に市長が発したこの言葉は、問題発言として広く報じられた。
女性の長女Aさんは中学時代、不登校になった。「何もしていないのに、生きていてごめんなさい」。不登校だった時、そういう気持ちで一日一日を過ごしていたとAさんが語るのを、私は聞いたことがある。彼女の苦しみが少しずつ薄れたのは二つのフリースクールに通い始めてからだ。一つは勉強中心のところ、もう一つは野外活動が中心のところ。フリースクールでは人間関係のリハビリができた。「気持ちの切り替えができて、天国に近いところだった」とAさんは語っていた。
フリースクールに救われた子どもたちは全国各地にいる。小椋市長の発言はそんな子どもや親たちを、どれほど傷つけたか。「この市長は、学んでいない。学ばない権力者のためにいつも当事者が一から説明しなければいけない」。女性は憤った。
全国で政治家の問題発言が相次いでいる
政治家による問題発言が頻発している。枚挙にいとまがないと言ってもいい。直近の例を見てみたい。
6月8日、神奈川県横須賀市の上地克明市長が一般質問のなかで「女性のDNA、ミトコンドリアの中に常に虐げられた歴史があって。その怨念、無念さが今の社会を構成していると思っている」などと発言した。(※現在は議事録から削除されている)
9月20日、東京都台東区の松村智成区議が一般質問のなかで、LGBTQ+への理解を進める学校教育について「偏向した教材や偏った指導があれば同性愛へ誘導しかねない」と発言した。
そしてこの原稿を書き始めた11月1日、また新たな問題発言のニュースが流れた。
自民党の桜田義孝・元五輪相がパーティーのあいさつの中で、「女性の議員は割と発言しない人が多い」と述べたという。ちなみに桜田氏は2019年にも「復興以上に(政治家が)大事」と発言し、問題になった。
女性は話が長いと言われたり、発言しないと言われたり。どこまでも「女性は能力が低い」と言いたいのだろうか。と怒りを感じていたら、翌2日には広島県三原市の徳重政時市議が「着々とLGBT? に向かっているかも。油断なりません」というコメントをSNSに投稿したという報道があった。
一体、なぜなのか。