称賛を浴びたイノッチと、彼への違和感
「こういう会見の場は全国に生放送で伝わっておりまして、小さな子どもたち、自分にも子どもがいます。(中略)ルールを守っていく大人たちの姿をこの会見では見せていきたいと僕は思っています」。
ほとんど罵倒の応酬になっていたジャニーズ事務所の会見で、新会社の副社長・井ノ原快彦氏が発した言葉が褒められた。
この言い方には2つの点で違和感を覚えざるを得ない。
まず加害者側の事務所が、たしなめている点。2つめは、よりにもよって子どもに対する性加害問題を釈明する場で「子ども」を持ち出している点である。
もとより、今回の会見は設定が問題だらけだった。
4時間あまりに及び、ほぼエンドレスだった前回とは逆に、2時間という厳しいタイムリミットがあり、1人1問で追加質問(更問)なし、という制限をつけた。
制限つきを発案したのがPR会社なのか、事務所なのか。
どちらだとしても、ジャニーズ事務所が受け入れたのは確かであり、設定にあたっての責任がある。にもかかわらず、井ノ原氏が讃えられ、会場で指名しない記者をまとめた「NGリスト」入りが噂される記者たちが批判された。
リストを作ったPR会社は問題だが、同時に、そこに入れられる側にも非がある、というわけである。
「NGリスト」で井ノ原氏にも飛ぶ火の粉
事態が明らかになるにつれ、結果的に井ノ原氏も「NGリスト」を受け入れていたのではないかとヤリ玉にあげられている。
いまやジャニーズ事務所は、(昔の)子どもの遊びことばで言えば「エンガチョ」=「(不浄なものとの)縁をチョン(切る)」、その対象である。汚く、誰もがいくらでも叩いてよい、と見られているのではないか。
この2回の記者会見を通じて冷静な対応が評価されている井ノ原氏ですら、もはや「エンガチョ」のひとつである。
ここまでジャニーズ事務所がバッシングされる要因は、いくつか挙げられよう。
会社を続けるのか、被害者に補償する原資(お金)を残せるのか、エージェント会社とは何か、もうメディアに圧力をかけるつもりはないのか……。
不透明な点が多いから、世間が納得しない。
「NGリスト」に象徴されるように、社会が沸騰させている怒りの火に油を注ぎつづけている、それも袋叩きの理由に違いない。