ストレスマネジメントが上手い人ほど「なんとかなる」と思える

いかがでしょうか。両者には大きな違いがあると思いませんか。

まず、首尾一貫感覚の高い人は「今は慣れていないだけ」と自分の状況を俯瞰ふかん的に見ることができています。また、どのようなルールや評価で動いているのかを探ることで今後の展開を見通そうとしています(把握可能感)。

そして、これまでの経験から、「今回も時間はかかるけどなんとかなるだろう」と考えます。「前の部署の先輩に聞く」と人脈を活用することもできています。加えて、息抜きをしたり、アドバイスをもらえたりする友人もいます。こうした人脈や経験があることで「なんとかなる」と思えています(処理可能感)。

また、この経験はつらいし、嫌なことも多いけれど、乗り越えれば「自分は成長することができる」と、意味のある経験としてとらえられています(有意味感)。

このように、首尾一貫感覚の高い人とそうでない人とでは、同じ状況にありながら、まったく違う精神状態です。「つらい。どうしたらいいかわからない」と落ち込む人もいれば、「今はちょっとつらいけど、なんとかなる」と前向きにとらえられる人もいるのです。

悩みを抱えやすい人は「処理可能感」が欠けている

私は、普段のカウンセリングでも「首尾一貫感覚」を活用しています。その経験から、悩みを抱えて私たちのような心理職に相談にくる人たちのなかで、最も不足しているのは、「処理可能感」だと感じています。つまり「なんとかなる」と思える力です。

首尾一貫感覚の3つの感覚のなかで処理可能感が低い状態なのです。したがって、少しストレスに弱いタイプであったり、ストレスフルな環境でメンタルが少し弱くなってしまっている状態の人たちは、処理可能感を高めることがいいのではないかと思っています。

見通しが立つこと、状況が理解できていることなど、把握する力(把握可能感)も「なんとかなる」と思えるかどうかに影響します。

例えば、地図も持たされず、ゴールまであとどれくらいかかるかもわからない状況で歩かされ続けたら、「しんどい。もうダメ」と途方に暮れますよね。でも、地図を持ち、ゴールまであと3分の1の地点だとわかれば、「ゴールまで行けそう」「なんとかなる」と思えます。

把握可能感(「だいたいわかった」と思える感覚)を高めるためには、「私は損するタイプ」「私はいつも軽く見られる」などど、ネガティブな自己像を作り上げて、固定化させてしまうような「レッテル貼り思考」に注意が必要です。

オフィスのロビーを歩くビジネスパーソンの集団
写真=iStock.com/Rossella De Berti
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