カウンセリングで「私ばかり損している」と嘆く人が多い
私のところにカウンセリングにくる人でストレスに弱い人たちの話を伺っていると、環境が変わってもすぐに不満をもっては、「私ばかり損している」「また軽く見られていた」と嘆いたり、落胆したりしがちです。
このような思考を繰り返していると、いい未来をイメージできなくなり、自分の身に起こっていることを把握したり、今後どうなるかを予測したりする目がくもってしまいます。すなわち、自分のことを冷静に俯瞰してみることができなくなり、把握可能感は育ちにくくなります。
また、「レッテル貼り思考」と同様に「~なはず」や「~するべき」「~でなければならない」などの「すべき思考」に縛られすぎないことも大切です。
例えば、「絶対に時間を守るべき」「上司の言うことには従わなければいけない」と強く思いすぎると、「時間を守らない人」「事情があって、従えなかった人」をなかなか許すことができません。断定的で一方的な思考になりがちで、視野が狭くなってしまいます。
「レッテル貼り思考」は自分を不幸にする
こうした「レッテル貼り思考」「すべき思考」が自分の中にないか、自分に向き合って考えてみることが大切です。例えば次のような問いに答える形で考えます。
答えの例:自分は損するタイプ。自分は仕事を押しつけられるタイプ。私はいつも我慢させられる。私はいつも面倒なことに巻き込まれる(レッテル貼り思考)
「『~すべき』『~すべきじゃない』と思うことはありますか?」
答えの例:絶対に時間を守るべき。あんな乱暴な言い方すべきじゃない。上司の言うことには従うべき(すべき思考)
そして「私は本当に損するタイプなのか? 得することはないか?」「絶対に時間を守るべき、と思っているが、本当にそうなのか。例外やゆるめていいケースはないか」など、自分の中のレッテル貼り思考やすべき思考を疑ってみることで、自分の思考の枠組みを広げてみるといいでしょう。
普段から自分のレッテル貼り思考やすべき思考を知っておき、できれば修正しておくと、自分の思考を広げることができます。
運の悪さを嘆く人も大勢いる
ここからは、実際の相談者からの相談内容をもとに、ストーリーのなかで「把握可能感の高め方」をお伝えしていきます(相談者のプロフィールや相談内容は、プライバシーを考慮して実際の事例に改変を加えています)。
相談者の半分くらいでしょうか。お話を伺っていると、「貧乏くじを引いてばかり」と自分の“運”の悪さを嘆く人がいます。たしかに、いろいろな悩みや相談を聴いていると、ストレスフルな出来事と運は無関係ではないと思うこともあります。