「内閣支持率のことはあまり気にしていません。支持率が下がるようなことをやっていますからね。そのわりには、意外ともっているなと思っています」
野田佳彦首相がそう強がったのは8月末の担当記者団とのオフレコ懇談でのこと。それから2カ月。民主党代表再選を果たし内閣改造を断行したというのに、支持率は下落。時事通信社の世論調査ではわずか23.4%(不支持率56.7%)。内閣改造後に支持率が下がったのはここ10年の内閣で初めてだ。
記者懇談で首相が「内閣支持率より気がかりで、もう少しなんとかならないものか」とぼやいていた民主党の政党支持率も低下に歯止めがかからず、首位の自民党にダブルスコアをつけられている(産経新聞社とFNNの調査では自民32.1%、民主16.8%)。
「首相は解散・総選挙の時期について“近いうちに”と自民党に約束したが、政党支持率が下がり続ける限り、負け戦につながる解散はできない。民主党内では、首相の解散権を封じて辞任に追い込もうという動きもあります。後任には、前回代表選に一時立候補を検討し、輿石東幹事長らの反対で断念した細野豪志政調会長を据えることになる」(民主党中堅代議士)
復興予算が官庁施設の改修費に目的外使用されていた問題などで野党は攻勢を強めており、早晩、野田政権は行き詰まる。が、首相が一か八かの解散・総選挙に打って出たら、民主党が壊滅的打撃を受けるのは避けられない。そこで首相に解散を断念させ、内閣総辞職・首相交代に追い込もうというわけだ。その画策の中心人物は仙谷由人副代表だという。
「仙谷氏は以前、『党内で政権をたらい回しする』と言い放ったことがある。仙谷氏はポスト野田をにらみ、内閣改造・党役員人事で細野氏を政調会長にするよう働きかけ、さらに自分と近い大塚耕平、細川律夫の両氏を政調会に入れて細野氏を補佐させている。細野氏の総裁選出馬に“時期尚早”と反対した輿石氏も、次は細野氏と思い定めています」(同前)
その細野氏の政調会長起用についても世論の5割が「期待しない」と突き放している。党の顔を変えても、もはや民主党の支持率回復はなさそうだ。