政治生命をかけ消費税増税に突き進む野田佳彦首相。歴代首相も一般消費税、売上税、消費税、税率アップに取り組んできた。政治家が増税と格闘した「歴史の教訓」は何を語るのか。
2月29日、国会で党首討論が開かれた。野田佳彦首相が「自民党は基礎年金の国庫負担2分の1の維持のために赤字国債の発行を認めているが、償還財源は消費税か」と質すと、自民党の谷垣禎一総裁(元財務相)が「そのとおり」と答える。野田は「いい答弁をいただいた。われわれは交付国債。一緒に消費税率の引き上げに努力を」と持ちかけた。
その直後、2人が25日の昼食時に極秘に会っていたことが発覚した。双方とも否定しているが、4日後の党首討論やその後の政局をにらんで互いに腹を探り合ったと見られている。
就任以来、消費税増税を目指す野田首相は通常国会での増税法案成立に一直線である。だが、情勢はきわめて厳しい。
常識的には法案不成立と映る。与党内の反対論、不調の与野党協議、国会は衆参ねじれで、仮に法案を提出できたとしても、成立の見通しは立たない。高い壁を突破するには大連立や「民公連立」、政界再編、法案成立と衆議院の解散を与野党で取引する「話し合い解散」などの非常手段が必要だが、簡単ではない。
一方、内閣支持率が低迷する野田政権の自滅を予想する声も強い。増税法案の国会提出期限である3月危機説、増税法案の成否や内閣不信任案が問題となる通常国会会期末の6月危機説、民主党代表選の9月危機説が取り沙汰されている。民主党を離党した渡辺浩一郎(現新党きづな幹事長)は日本新党以来の野田の古い仲間だが、こんな感想を述べる。
「増税法案が通らなければ、最後は総辞職か解散ということになる。それは6月頃かもしれない。だけど、野田さんは政策と政治の裏方の両方ができる数少ない政治家で、思慮深く、ちゃんと配慮するタイプ。法案を可決するため、与野党の枠を超えて具体的にどうするか、いろいろと話をしているだろうと思う」
消費税増税は小渕恵三首相以後、八代の政権がなしえなかった困難な道だが、なぜいま野田は増税に挑戦するのか。