食欲が湧かないときは、おかずだけ食べればいい

高齢になると、食欲が湧かない日もあるものです。その原因は人それぞれで、「運動不足から、食欲がなくなる」人もいれば、「胃腸の消化力が落ちて、食べたものの消化に時間がかかるため、食欲が出ない」という人もいます。

あるいは、歯が悪くなって、噛みにくいため、食欲が湧かないという人も増えます。咀嚼そしゃくする力が落ちると、脳の食欲に関する中枢への刺激が乏しくなり、食欲が湧きにくくなるのです。

また、心理的な理由から、食欲が落ちるケースもあります。たとえば、配偶者を亡くし、一人暮らしになって、悲嘆や孤独感から食欲がなくなることがあります。また、夫に食事を用意する必要がなくなることで、食卓への関心が薄れ、結果的に食欲が失われることもあります。

さらには、薬物の副作用で食べる気がしないという人もいれば、味覚や嗅覚に障害が生じて、何を食べてもおいしくない、という人もいます。

では、そのような理由から、食欲がなく、料理を食べきれないときには、どうすればいいか――そういうときには、おかずを先に食べて、ご飯やパンを残すことです。おかずさえ何とか食べていれば、タンパク質やビタミン、ミネラルをある程度は摂取することができるからです。

1週間に1パックの納豆が心筋梗塞と脳梗塞リスクを約25%低減

「豆類」をよく食べる国は、おおむね長生きの国です。

たとえば、北欧のスウェーデンは、男性の平均寿命では、日本とほぼ肩を並べる長寿国ですが、この国には、エンドウ豆やブラウンビーンズをよく食べる習慣があります。

むろん、わが国の平均寿命が世界一長いのも、納豆や味噌など、大豆を原料とする食材を「国民食」としてきたことがその一因とみていいでしょう。

大豆は「畑の肉」と呼ばれるくらい高タンパクの食品であるうえ、疲労回復に効果的なビタミンB群をたっぷり含んでいます。他にも、オレイン酸など、健康に必要な各種の栄養素を含む「健康食材」です。

大豆食品のうち、納豆に関して、かつて「高山調査」と呼ばれる大規模調査が行われたことがあります。栄養学の世界では有名な調査で、現在の岐阜県高山市で、約2万9000人の男女を対象にして、16年間にもわたる追跡調査が行われたのです。

まだ混ぜていないパック入り納豆
写真=iStock.com/yankane
※写真はイメージです

その結果、1週間に1パック以上の納豆を食べていた人は、ほとんど食べない人に比べて、心筋梗塞と脳梗塞を患うリスクが約25%も低いことがわかりました。

納豆1パックで、約5グラムのタンパク質を摂取できます。その「粘り強い」積み重ねが、心臓と脳の梗塞リスクを小さくするのです。