ゴリゴリに鍛えたい人は対象外
【ポイント3】初心者マーケティングに徹したこと
chocoZAP最大の独自性は、「トレーニング初心者にターゲットを絞った」ことです。私はこうした取り組みを「初心者マーケティング」と呼んでいます。
あらゆる物やサービスには初心者であるエントリーユーザーとレギュラー(マス)ユーザー、ヘビーユーザーが存在します。お金を多く払ってもらえるのはヘビーユーザーです。儲けたい企業はここを狙いたくなります。しかしヘビーユーザーはこだわりも強く、知識もあり経験も豊富であるため、レベルの高いサービスが必要になります。
初心者は知識も経験もありません。標準的な設備やサービス品質があれば、ある程度満足してもらうことも可能です。しかも初心者は常に発生します。
商売をする上では初心者マーケティングはとても重要な戦法となります。特に新規事業展開する場合には有効な考え方と言えます。
chocoZAPは「着替えもなしで5秒でスタート、1日5分の『ちょいトレ』でOK」としました。まさにジム初心者を狙ったのです。
ジムのメインターゲットは男性で、徹底的に身体を鍛えたい人、マッチョな人、トライアスロンなどを本気でやっている人がたくさんいる……というイメージが強かったものです。それがエニタイムや女性専用カーブスの登場で、「もっと気楽に通っていいんだ」と印象が変わってきました。
chocoZAPは、もっと気楽に、もっと誰でも気兼ねなく通えるようにしたことで、一気にすそ野を広げました。これまで潜在的に眠っていた「ジムに通ってみたいが通えなかった未利用者層」を開拓したのです。
最大の目的は「美容」と「体力づくり」
実際にRIZAPグループのアンケートでも「利用者の多くは未経験者 最大の目的は『美容』と『体力づくり』」としています。
利用者の52%は女性で、30代以下の利用者が55%と年齢層も若めです。初心者が多く、運動が苦手でも、みんな同じような客層だから気兼ねなく通えます。
運動が得意、トレーニングをガチでしたい人を捨てて初心者マーケティングを実践したこと。ここにchocoZAP最大の優位性を見て取れます。