ページ全体、PDF全体をまるごと翻訳できる

翻訳ツールの代表は、「Google翻訳」です。

Chromeのブラウザを使い、英語が書かれたページで右クリック、「日本語に翻訳」を選べば、ページ全体を簡単に翻訳してくれます。また、文章を入力して、英文から日本語、日本語から英語に翻訳するツールもあります。ブラウザだけではなくアプリ※1もあり、高機能で無料です。

PDFなどの翻訳をしたい場合は、Googleドライブにファイルを入れ、Google Docsで開いた後、ツールの翻訳機能で日本語を選択すれば、翻訳されたドキュメントが作成されます。レイアウトは崩れますが、理解の助けになるでしょう。

恐ろしいことに、従来プロ向けに使われていたあらゆる翻訳ツールも、Google翻訳のクオリティには勝てないといわれています。

しかし最近、Google翻訳をしのぐといわれるツールが現れました。「DeepL※2」です。AIを活用した機械学習が備わっており、Google翻訳よりクオリティが高いと評価する人も多数います。

DeepLにもブラウザ・アプリ版があり、基本的に無料で使えます。有料版にすると、文字数の制限がなくなり、作成できる用語集の数が増えます。また、PDFなどのファイルを丸ごと翻訳してくれます(プランによって翻訳できるファイル数が異なる)。お陰で私は海外の大学の授業で参考資料として送られてきた数学の論文も、さっと目を通すことができるようになりました。本当に助かります。

DeepLのさらに便利なところは、日本語から英語に翻訳したときに、翻訳する単語や順番を変えられるところです。例えば受動態にしたい、ここは違う単語を使いたいというようなことにも対応してくれます。

【図表1】DeepLブラウザ版
出所=DeepLブラウザ版のスクリーンショット

※1:Google翻訳アプリ(https://translate.google.com/intl/ja/about/
※2:DeepL(https://www.deepl.com/ja/translator

Google翻訳とDeepLのどちらが優秀か

Google翻訳とDeepLのどちらが優秀かというと、私は甲乙付け難いと感じています。ひと言で表すなら、「流暢な翻訳はDeepL、確実な翻訳はGoogle翻訳」だと思います。

まず、自然な言い回しはDeepLに軍配が上がることが多い印象です。しかしDeepLはAI学習の問題なのか、1つの文章を2回翻訳してしまったり、明らかな誤訳が起きたりします。

特に改行による影響は大きいです。例えばあるサイトの英文をコピペする際に、おかしな部分で改行コードが入ることがあります。これをDeepLでそのまま翻訳することで、意味がガラッと変わってしまうことがよくあります。対策として手っ取り早いのは、英文を一度ブラウザのアドレス入力欄にコピペして、それをさらにDeepLにコピペすると改行が消えます。Google翻訳では、こうした問題は少ないように思います。

それから、Google翻訳のほうが、文法のミスなどは見つけやすいと感じています。DeepLはよくも悪くも英語や日本語のミスに寛容で、おかしな文章でもそれっぽく訳してくれます。ある人がDeepLを使って英語版の契約書を作っていたら、「乙」の部分に過去に同じくDeepLで作った契約書の企業名が出てしまうことがあったそうです。大量に同じ社名を翻訳していたことで、AIがそのように学習してしまったのかもしれません。個人情報や機密情報の翻訳には気をつけましょう。