中学受験の過熱は中堅層が最も影響を受ける
2015年以降、首都圏の私立中高一貫校を目指す子どもの数は増え続けている。まさに「過熱化」と呼ぶにふさわしい激戦が首都圏の中学入試で繰り広げられているが、この「過熱化」の影響を最も受けるのは、偏差値45~55のいわゆる「中堅層」である。
なぜだろうか。
いわゆる偏差値(※)の区分ごとの受験者の割合は下記の通りだ。
※データを一律に標準偏差10、平均50に変換したときの値。
偏差値~35未満 約6.7%
偏差値35~45未満 約24.2%
偏差値45~55未満 約38.3%
偏差値55~65未満 約24.2%
偏差値65~ 約6.7%
受験者数(母集団)が増加すると、もっとも人数が膨れ上がるのが約4割を占める偏差値45~55の中間層になる。そのため、「中堅校」はその年の人気不人気で難易度が大きく変わる。
中学受験生たちが受ける「秋の模擬試験」は前年のデータを基に各校の合格率を判定する場合が多く、来春の人数動向予測など反映していない、いや、反映できないのだ。さらに、近年の中学入試はネット出願が主流ゆえ、入試当日になってはじめて受験者数が正確に把握できるという状況だ。その証拠に、昨秋の模擬試験の「学校別偏差値」と、今春の入試後に(その結果を踏まえて算出する)「結果偏差値」の値に乖離が生じる学校がいくつもあったのである。
こう考えていくと、先に述べた中堅校の難易度の変化は事前予測することが困難であることが分かるだろう。とりわけ午後入試や2月3日以降の2次・3次(同じ学校で実際される2回目、3回目の試験)入試は高倍率になる学校が多く、現在の「偏差値」を基準にして「安全校」と見なすと、思わぬ結果が待ち受けることもあるのだ。