株式投資で成功するにはどうすればいいのか。JPモルガン・アセット・マネジメントでファンドマネジャーを務めた中山大輔さんは「低迷し続けていた日本株が、世界から注目されるようになった。株式市場は『循環』するように浮沈を繰り返しており、この潮目の変化はチャンスになる」という――。

※本稿は、中山大輔『日本株で30年 好成績を上げたファンドマネジャーが明かす 逆転の思考法』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

100ドル札と一万円札
写真=iStock.com/Nelson_A_Ishikawa
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株式市場の「循環」と「相対」を見抜く

株式市場では、大勢の人が「良い」と思っていることの反対側に、常に「駄目だ」と思われているものがあり、潮目の変化でお互いが入れ替わったりします。

このように、「相対」する動きが至るところで見られるのが、株式市場の面白さでもあります。

具体的にいうと、「大型株と小型株」、「バリュー株(割安株)とグロース株(成長株)」、「内需株と外需株」などが代表的なところで、資産クラス別でいうと、「債券と株式」もそれに該当します。あるいは米国株にリスクシナリオが浮上している一方で、日本株復活のシナリオが浮上しているのも、そのひとつといってよいでしょう。

もうひとつ、マーケットを見るうえで注目しておきたいのが、「循環」です。循環というと少し難しいような印象を受ける方もいらっしゃると思いますが、平たくいうと「良い時があれば、悪い時もある」という話です。

これはトレンド転換のことであり、マクロ経済も企業経営も、「循環」するように浮沈を繰り返しています。その変化率の大きなところに資金を投じるのが、株式投資でリターンをより高める、あるいは確度を高めるポイントのひとつになります。

長く続き、大きく膨らんだトレンドが転換する時ほど、次に現れる別のトレンドも、長く大きなものになる可能性があります。だとすれば、企業価値の向上に伴う、日本企業の株価上昇は、長く続く可能性があります。

こうした循環をさまざまな観点から探り、その循環の転換点を見つけるようにし、その循環に乗れる企業を探します。

産業ごとに「循環」が起きている

テクノロジー

循環は景気やマーケットだけでなく、特定の産業にも見られます。たとえばIT情報通信、半導体産業などのテクノロジーには、15~20年周期のサイクルが確認できます。

1960年代はカラーテレビがあり、1985年はVTR。そして1990年代は携帯電話やパソコン、液晶、さらにはインターネットの普及に伴って、そのインフラ関連技術がもてはやされました。

2010年代には再生可能エネルギーやスマートグリッド、EV、DX、GAFAMに代表されるピュアデジタル的なものが登場し、普及していきました。こうした新しいテクノロジーの「開発→高付加価値化→普及→日用品化」のサイクルは、今後も15~20年おきに出現するものと思われます(もしかすると、AIの能力が人智を超えた場合、こうしたサイクルや、これまでの人間世界での常識は大きく変貌するのかもしれませんが)。