株式投資で成功するにはどうすればいいのか。JPモルガン・アセット・マネジメントでファンドマネジャーを務めた中山大輔さんは「株式投資で利益を狙うなら『利益の変化率』に着目したほうがいい。誰もが知っているいい会社よりも、業績低迷が続くなど停滞感が感じられる企業の変わる時が狙い目だ」という――。

※本稿は、中山大輔『日本株で30年 好成績を上げたファンドマネジャーが明かす 逆転の思考法』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

スマートフォンを手に株価ボードを見る男性
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「いい会社」の株を買うのが王道だが•••

株式のアクティブ運用は、「良い企業に投資してずっと保有し続ける」というスタイルが主流です。

確かに、それは間違っていませんし、株式投資のスタイルとしては王道といってもよいでしょう。信越化学工業、キーエンス、ニデック(旧日本電産)など、株式市場全体が長年にわたって低迷し続けた日本にも、世界的に通用する技術を持った、それこそ「余人をもって代えがたし」というような企業がたくさんあります。

このような企業は、極めて高い技術力、高度に効率化された業務のオペレーションなどによって、高い収益力と、他の企業が容易に参入しにくいという強みを持っています。かつ、提供している製品・サービスの価格決定権を持っています。つまり自分が価格を決められるのです。

別の言い方をすると、値引き競争に巻き込まれる心配がありません。したがって、景気の良し悪しに関係なく、常に一定の利益幅を得ることができます。まさに最強の存在です。よほどのことがない限り、その企業の事業は着実に成長していきますし、そういう企業をしっかり選んで投資すれば、株価はその成長を織り込んで、着実に値上がりしていきます。

こういう企業の株式に投資するのが、アクティブ運用の王道です。そして、この手の企業の株式をファンドに組み入れたら、ずっと保有し続けます。良い企業が良い企業であり続ける限りは、売却する必要性はどこにもありません。確かにその通りなのです。

「悪い企業=伸びしろ企業」に投資をする

その通りではあるのですが、それはそれである程度似通った組み入れ銘柄になりがちとも言え、その帰結としてパフォーマンスの出方も同じ傾向となるでしょう。

年金基金など委託者側からみると、いくつかのアクティブファンドに分散しても結果はそれほど変わらないというケースも考えられ、不確実性の高い世界情勢においては、他のファンド・運用とは違うエッセンスを提供できることが、付加価値の一つになると思うのです。ということで、私は独自性の高い、超過リターンの実現を目指した運用スタイルを取ります。