請負企業に丸投げされていた

この人材派遣会社は上海外服集団という大手人材派遣会社の子会社だった。2016年に、主に浦発銀行のクレジットカードセンターなどのアウトソーシング業務を請け負うために創設された会社だ。

クレジットカードセンターは銀行の子会社の中では特殊な存在であり、業務全体を請負企業に丸投げされることが多い。

銀行と請負企業間で代理契約協議を結び、請負企業がクレジットカードセンターの運営を行い、銀行自身はその運営に直接関与していない。

中国では一時期、クレジットカードセンターが雨後の筍のように誕生したが、経済が悪化した現在は飽和状態であり、いずれのセンターも業績悪化に悩んでいる。

業務縮小とリストラを進めている

そういう中で銀行側はクレジットカードセンターの縮小を進めているわけだが、リストラされた派遣社員に対する退職金支払い義務は銀行側にはない。

その義務を負うのは人材派遣会社、請負企業だ。

業務縮小とリストラを進めている
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業務縮小とリストラを進めている(※写真はイメージです)

派遣会社、請負企業は、労働者の派遣先が変われば、給与や雇用条件の調整は当然と考えるので、トラブルになりやすい。

浦発銀行の問題は、銀行の経営悪化、クレジットカードセンターの業績悪化と、人材派遣企業の契約トラブルが重なって複雑化したものだと言える。

だが本質は、中国の銀行業界の問題であり、それは中国経済全体の問題と言える。