「欧州の自動車産業の競争力を高めるために」

私たち欧州の人々にとって、自動車産業は必要不可欠な産業です。欧州の自動車産業の競争力を高めるために、あらゆる手段を講じるつもりです。私たちは将来を見据える必要があります。そして、乗用車の未来は、主にEVになるでしょう。私たちは、その未来を中国勢や韓国勢に委ねたくはありません。私たちもその一員でありたいと思います。

率直に言って、私たちはEVにシフトするのが少し遅かったと思います。私たちのエンジニアは、非常に燃費の良いディーゼル車や内燃エンジン車を造ることができると強く信じていたからです。我々は今、未来はゼロエミッションモビリティーと共にあることを理解しています。また、自動車産業の世界的な発展により、これらの自動車は内燃エンジン車よりもかなり早く安価になり始めるでしょう。

EVとエンジン車の価格はいずれひっくり返る

――しかし、EVは内燃エンジン車に比べるとまだまだ高価です。

はい。既にランニングコストは安くなっていますが、それでも購入するには非常に高価です。それは、多くの国民にとって高い敷居です。しかし、販売台数が増加し、電池の技術力が向上していることを考えると、少しずつEVは安価になっていくでしょう。

また、内燃エンジン車の生産台数が減少すれば、相対的に高価になります。ですから、ある時点でクロスオーバーが起こり、EVは内燃エンジン車に比べてランニングコストが安いだけでなく、購入コストも安くなるのです。多くの国民がその時を待っているのではないでしょうか。

――そうだといいのですが、35年になってもEVが内燃エンジン車より高価だとしたら、低所得者はどうやってEVを購入するのでしょうか。

最初に申し上げたいのは、30年より前にもEVは内燃エンジン車より安くなると確信しているということです。購入するには、新しいEVが主流になるでしょう。中古市場も残っていますし、中古市場で活躍する人たちもいます。しかし、30年より前には新しいEVは、同じセグメントの新しい内燃エンジン車より安くなると確信しています。

第2に、充電インフラを整備します。30年までに全電源に占める再生可能エネルギーの割合を45%にするという計画が成功すれば、電気料金は下がります。つまり、これはEVのランニングコストの低減にもつながるわけです。既に(ランニングコストは)内燃エンジン車より安くなっていますが、恐らく将来はさらに安く走れるようになるでしょう。

これは私の強い信念です。私たちが行った分析に基づく私の仮説でもあります。EVという提案がもっと魅力的になっていくと思います。