子供の怒りに着目! こだわりが隠れています

では、どうすればわが子を「自己中心的利他」で「自分の人生を自分で決められる人間」に育てることができるのでしょうか。

実はとても簡単なことで、子供の“好き!”にブレーキをかけないこと。それだけです。

ただ、親世代にとっては、ここが難しいところです。何せ我々親世代は、大なり小なり会社や社会の価値観に依存してきた部分がありますから。

まず大切なことは、子供が自分の好きなことに向けて踏み出した一歩に、親が気づいて寄り添うことだと僕は思います。

子供は親に対して、常に何かを発信したがる生き物です。「今日はこんなことがあった」「こんなことが嬉しかった」と話しかけてきます。そういう言葉に耳を傾けると、自分の子供は何に興味があり、何を嬉しいと感じるのかをキャッチできます。

そのときに、それが何であれ否定しないこと。「いいね」「楽しそうだね」「ちょっと一緒に調べてみようか」と、親も興味を持ってみることです。

『プレジデントFamily2023秋号』(プレジデント社)
『プレジデントFamily2023秋号』(プレジデント社)

なかなか発信できない子には、親のほうからいろいろと声かけをしてみればいい。わが家でも娘が幼かったときは、毎晩寝るときに、「今日は何が楽しかった?」「ありがとうと思ったことは何?」と話す時間をつくりました。実際に話していたのは妻ですけれど(笑)。

そんな娘もいまではすっかり成長して、僕のほうが教わる立場になることも。テクノロジーに関しては僕のほうが知っていても、「いまの若者が何を楽しんでいるのか」なんかについては、17歳の娘が先生です(笑)。

子供の“怒り”や“イライラ”に着目してみるという方法もあります。

怒りやイライラには、その人の根幹が表れるもの。人の遅刻にイラッとする人は、時間を守ることを大切にしている人ですし、話をスルーされたことに憤りを感じる人は、普段から人の話をしっかりと受け止めようと努力している人だったりします。怒りやイライラの裏には、子供の好きやこだわりが隠れているのです。